バイビット欧州進出で業界激変か|ドバイ本拠から5億人市場への野望

仮想通貨取引所大手のバイビット(Bybit)は29日、オーストリア金融市場監督庁(FMA)からMiCAライセンスを取得したと発表した。
これにより欧州経済領域(EEA)全域での暗号資産(仮想通貨)サービス提供が可能となった。
同社はウィーンに欧州本社を設立し、100人以上の従業員を現地で雇用する計画を明らかにした。
このライセンス取得により、バイビットは約5億人の欧州ユーザーに向けて規制に準拠したサービスを展開する。
MiCA規制フレームワークへの対応
2025年初頭に施行されたEUのMiCA規制フレームワークは、EU加盟27カ国における仮想通貨関連サービスの統一的な規制基準を確立した。
バイビットは今回のライセンス取得により、この新たな規制環境下で合法的にサービスを提供できるようになった。
MiCA規制は消費者保護、市場透明性、マネーロンダリング防止などの厳格な基準を設けている。
海外仮想通貨取引所のバイビットは商業登録番号636180iの下でバイビットEUとして登録され、仮想通貨の保管、ステーキング、デリバティブ取引などのサービスを提供する予定だ。
同社は2025年2月に15億ドル(約2175億円)のハッキング被害を受けたが、今回のライセンス取得は規制遵守とセキュリティ強化への取り組みを示すものとなっている。
オーストリアを拠点とする戦略的意義
バイビットがオーストリアを欧州拠点として選択した背景には、同国の仮想通貨に対する友好的な政策環境がある。
オーストリアは有利な税制政策と積極的な規制当局を持ち、既に地場の仮想通貨取引所ビットパンダもMiCAライセンスを取得している。
このライセンスによりバイビットは「パスポート制度」を活用し、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインを含むEEA全域でシームレスにサービスを提供できる。
同社は本拠地をドバイに置きながら、日本を含む他地域でも営業許可を取得しており、世界的な規制遵守戦略を推進している。
バイビットはまた、非営利団体ブロックチェーン・フォー・グッド・アライアンス(BGA)を通じて欧州の大学と連携し、ブロックチェーン教育と研究の促進にも取り組む予定だ。
同社は、欧州市場での成功が他の地域での事業展開にも良い影響を与えると期待しており、特に成長が著しいアルトコイン市場への関心も示している。