米SEC、DeFi向け「イノベーション免除」の導入を検討

米SECのポール・アトキンス委員長は9日、DeFiの規制障壁に対処するため、「イノベーション免除」を検討していると発表した。
この政策転換は、ブロックチェーンエコシステム内で事業を行う発行者や仲介業者に条件付きの救済措置を提供し、オンチェーン金融商品の迅速な展開を可能にすることを目的としている。
アトキンス委員長は、この取り組みが米国を世界の暗号資産(仮想通貨)リーダーとして確立するというトランプ米国大統領の広範なビジョンの一環であると位置づけた。
DeFiの展開を促進する「イノベーション免除」
今回の発表は、6月9日に開催された仮想通貨タスクフォースの円卓会議で行われた。
SECは、分散型システムに対応するための広範な改革を評価する間、企業を特定の規制要件から一時的に免除する方針だ。
この背景には、中央集権的な仲介者を前提として設計された既存の証券規則が、自己実行型のブロックチェーンプロトコルに適合しないという批判があった。
従来のSEC規則は、ブローカー、取引所、アドバイザー向けに作られており、コードによって駆動される分散型の金融システムには不向きであることが指摘されていた。
多くのDeFiアプリケーションは、イーサリアム(ETH)のようなスマートコントラクトプラットフォーム上で構築されている。
また、市場の混乱時において、中央集権型のプラットフォームと比較して分散型プロトコルが示した運用の安定性も、その潜在能力を浮き彫りにした。
トランプ政権が仮想通貨分野での競争力を重視し、規制のボトルネック解消を推進していることも、この動きを後押ししている。
規制の近代化と投資家保護のバランス
アトキンス委員長はSECスタッフに対し、発行者や仲介者の役割を再定義することを含め、オンチェーンシステムにより適合するような規則改正を検討するよう指示した。
この免除措置は、イノベーションを促進すると同時に、投資家を保護するための特定の条件を遵守することが求められる。
SECの共和党委員は、オープンソースプロトコルの意図しない悪用について、ソフトウェア開発者が責任を負うべきではないと主張した。
これは、コードの意図しない結果に対して開発者の責任を問わない「コード中立性」の原則に沿うものだ。
一方でSECは、規制監督を逃れるために分散化を偽って主張する事業体については、引き続き規制当局による責任追及の対象となると強調した。
この新たな枠組みは、分散型金融(DeFi)プロトコルや関連サービスプロバイダーを対象としてきた従来の執行戦略からの大きな転換点となる。
最終的な成果は、時代遅れの規制枠組みを見直すためのスタッフの提言にかかっている。