リップル、ステーブルコインRLUSDで米全国銀行免許を申請

エンタープライズ向けブロックチェーン大手のリップル社は2日、同社発行ステーブルコインのリップルUSD(RLUSD)を連邦政府の監督下に置くため、米OCCに全国銀行免許を申請したことが明らかになった。
この申請は、同社が発行するステーブルコインであるRLUSDを、連邦政府の直接的な監督下に置くことを目的としている。
規制遵守と市場競争が申請の背景に
RLUSDは2022年12月にローンチされ、すでにニューヨーク州金融サービス局の監督下にあり、時価総額は4億4000万ドルに達する。
同時に、子会社のスタンダード・カストディ&トラスト・カンパニーはFRBのマスター口座を申請した。
承認されれば、RLUSDの準備金をFRBに直接預け、24時間365日のトークン発行が可能になる。
リップル社のブラッド・ガーリングハウスCEOは、州と連邦双方の監督を確保することが、透明性と信頼性における独自の基準を確立すると述べた。
この二重の規制枠組みは、RLUSDを超えた金融サービス拡大に向けた布石となる。
また、今回の申請は、米国における規制遵守への要求が高まる中で行われた。
特に、超党派のステーブルコイン規制フレームワークのGENIUS法案は、ステーブルコインの裏付けとして規制された銀行準備金を重視しており、リップル社の動きはこれに沿うものだ。
また、競合他社の動向も影響している。
同社は、ステーブル発行企業サークルとパクソス、コインベース社、暗号資産(仮想通貨)取引所パクソスに続き、銀行免許を申請した企業となる。
競合のサークル社は6月に全国信託銀行の設立許可を申請しており、アンカレッジ・デジタル社は仮想通貨企業として初めて同様の許可を取得している。
さらに、シリコンバレー銀行の破綻などにより、テクノロジー企業や仮想通貨企業向けの銀行サービスに空白が生じている。
仮想通貨企業が主流の金融システムへの統合を模索する、より広範な市場の変化も背景にある。
銀行免許取得で金融サービス拡大へ
リップル社は現在、法定通貨の準備金保管に注力しているが、将来的には銀行免許を活用し、融資や資産保管など、より広範な仮想通貨金融サービスへの拡大を計画している。
同社はこれまでも、国境を越えた決済サービスの提供や決済プロバイダーとの提携を通じて、事実上のネオバンクとして機能してきた。
GENIUS法案では、同社のようなノンバンク組織も規制されたステーブルコインを発行できる。
しかし、銀行免許を通じて準備金を保有することで、コンプライアンスが合理化され、信頼性が向上する。
ガーリングハウス氏は、今回の申請が、変化する規制の枠組みを遵守するという同社の一貫した戦略の延長線上にあると強調した。
これにより、国境を越えた決済や資産管理のための機関投資家向けインフラを強化する構えだ。