金融庁と財務省、仮想通貨トラベルルールに5カ国を新規追加

金融庁と財務省は7日、暗号資産(仮想通貨)の送金に関する「トラベルルール」の対象国に5カ国を追加したと発表した。
トラベルルール対象国を63カ国に拡大
トラベルルールとは、マネーロンダリングやテロ資金供与を防ぐための国際的なルールだ。
仮想通貨取引所などが顧客の資産を別の取引所へ送金する際、送金元と受取人の詳細な情報を通知することを義務付けている。
日本では、犯罪収益移転防止法に基づき、仮想通貨やステーブルコインの送金にこのルールが厳格に適用されている。
今回新たにトラベルルールの対象として指定されたのは、アンギラ、オマーン、キューバ、ドミニカ、ボツワナの5カ国だ。
すでに指定されていた米国や英国、シンガポールなどの58カ国・地域と合わせ、対象は合計63カ国・地域に拡大した。
金融庁は5月に改正案を公表し、一般からの意見募集を経て今回の正式な決定に至っている。改正された告示は8月3日から適用される。
同日以降、日本の仮想通貨取引所からこれら5カ国の取引所へ送金する場合、顧客情報の通知が必須となる。
取引所を利用するユーザーにとっても、送金時の手続きが一部変更される可能性があるため、各取引所からの案内に注意が必要だ。
特に、取引量が多いビットコインなどの送金時には、事前の確認が推奨される。
マネーロンダリング対策の国際基準に準拠
日本がトラベルルールの対象国を限定しているのは、相手国に同等の法規制がないと情報通知の実効性が保てないためだ。
金融庁は、国際的な基準を定める金融活動作業部会(FATF)の審査結果や各国の法律を慎重に確認している。
その結果、同等の規制が整備され、適切に運用されていると判断された国だけがリストに追加されている。
一方で、中国やロシアなどの主要国は、日本と同等のトラベルルール規制を持たないため、対象国から外れている。
対象外の国にある取引所や、個人が管理するウォレットへの送金については、情報の通知義務は発生しない。
例えば、個人で管理するイーサリアムのウォレットへの送金は、この通知義務の対象外となる。ただし、日本の取引所には送金先の情報を収集し、厳重に保存することが引き続き求められている。
今回の対象国拡大に伴い、日本の仮想通貨取引所はコンプライアンス体制やシステムのアップデートを迫られる。
送金先の取引所が指定国にあるかどうかを正確に判別し、自動的に情報を付与する仕組みが必要になるからだ。
国際的な規制の足並みが揃う中、日本は今後も安全で透明性の高い仮想通貨市場の構築を進めていく方針だ。