テザー社、BTC10万枚超と金50トン以上を準備金として保有

ステーブルコインUSDT発行大手のテザー社は29日、10万枚を超えるビットコイン(BTC)と50トン以上の金を準備金として保有していることを明らかにした。
パオロ・アルドイノ最高経営責任者(CEO)がラスベガスで開催された「Bitcoin 2025カンファレンス」で発表。
同社はすでに1200億ドルの米国債を保有しており、今回発表された資産と合わせて準備金の大幅な多様化を実現している。
金とビットコインは相互補完的な関係
アルドイノCEOは、金とビットコインは競合関係ではなく相互補完的な資産だと強調。「多くのビットコイナーは金について語ることを嫌がるが、金がビットコインから何かを奪うことはない。ビットコインは完璧で、金は不完全だ」と述べた。
金は法定通貨に対するヘッジとして機能し、ビットコインはデフレ資産としての役割を果たすという考えを示した。
この戦略により、テザー(USDT)の安定性をさらに強化し、マクロ経済の変動に対する耐性を高めることを目指している。
テザー社は2024年10月時点で約8万2000BTCと48トンの金を保有していたが、約8か月で大幅に拡大したことになる。2025年第1四半期の財務開示では、ビットコインで70億ドル以上、物理的な金地金で60億ドル以上を保有していると報告されていた。
世界最大級の機関保有者に
今回の資産開示は、従来からテザー社の準備金構成に対する懐疑的な見方があったことを受けた透明性向上の取り組みの一環とみられる。
監査可能な資産保有状況を公表することで、規制当局の監視を先取りし、機関投資家の信頼獲得を狙っている。
USDTは時価総額で最大のステーブルコインであり、今回の発表によりテザー社は世界最大級のビットコインと金の機関保有者の地位を確立した。
デジタル資産と伝統的資産の両方を管理するハイブリッド型カストディアンとしての同社の役割が一層強化されることになる。
アルドイノCEOはまた、テザー社が年末までに世界最大のビットコインマイニング企業になるとの見通しも示した。同社は20億ドルをエネルギー生産とビットコインマイニングに投資しており、公開企業を含むすべてのマイニング企業を上回る規模になると予想している。