コインベース、スペースXのIPO前先物を提供開始

暗号資産(仮想通貨)取引所大手のコインベースは4日、スペースXを対象としたIPO前無期限先物の提供を開始した。
未公開企業へのアクセス拡大
コインベースが新たに展開する「IPO前無期限先物」は、株式公開前の未公開企業の価格変動にアクセスできる商品だ。その第一弾として、イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業スペースXが選ばれた。
この契約は、ステーブルコインのUSDC建てで決済され、満期やロールオーバーなしで24時間365日取引が可能となっている。
取引はバミューダに拠点を置く同社のデリバティブ部門を通じて提供され、米国の証券規制に配慮して米国居住者は利用できない仕組みだ。
利用者は最大5倍のレバレッジをかけて取引できるが、実際の株式を保有するわけではない。そのため議決権や配当は発生せず、あくまで価格変動を狙うデリバティブ商品として位置づけられている。
スペースXのIPOは12日頃に予定されていると報じられている。IPOが完了すると、未決済のポジションは公開市場の株式を参照する標準的な無期限先物契約に自動で変換される予定だ。
利用者は別の口座を開設することなく、既存のデリバティブ口座から直接取引できるという。
激化するデリバティブ市場の競争
今回のローンチの背景には、世界的な注目を集めるスペースXへの強い需要がある。
未公開企業へのアクセスはこれまで、ベンチャーキャピタルや一部の機関投資家などに限られていた。コインベースは新たな商品を通じて、デリバティブ市場に新規利用者を取り込み、取引高の増加を狙っている。
仮想通貨デリバティブ市場における競争も激しさを増しており、競合のバイナンスも5月に同様のスペースX上場前無期限先物を発表していた。
主要な取引所間で、話題性の高い未公開企業を対象とした合成資産の提供競争が加速している状況だ。
コインベースは規制に準拠したUSDC決済の市場を提供することで、他社との差別化を図っている。
コインベースは今後、テクノロジーや人工知能、エネルギーなどの分野で、他の未公開企業のIPO前先物も順次追加していく方針を示している。
単発の商品ではなく、継続的な上場カテゴリーとして定着させることで、市場での優位性を確立したい考えだ。外部の評価額やIPOに向けたデータによって価格が変動するため、市場の動向が注目される。