セイラー氏、ビットコイン改善提案「BIP110」に反対表明

ストラテジーのマイケル・セイラー会長は18日、ビットコイン(BTC)の改善提案「BIP 110」に反対するエッセイを公開した。
ビットコインの中立性を巡る議論
BIP 110は、ビットコインネットワーク上で非金融的なデータを制限するソフトフォークの提案だ。約1年間の暫定的な措置として、特定のデータ構造に容量制限を設けることを目指している。
提案者らは、ネットワークを圧迫するスパムデータを排除し、本来の金融用途に特化させることを目的としている。
しかし、セイラー氏はこの提案に対して強く反発している。同氏は「110 Reasons BIP 110 Is a Bad Idea(BIP 110が悪いアイデアである110の理由)」と題した長文のエッセイを発表した。
その中で、「ビットコインには純粋さの守護者ではなく、中立性の守護者が必要だ」と主張している。
プロトコル自体は、データが画像なのか契約書なのかといった意図を読み取ることはできない。
そのため、コンセンサスルールを用いて特定の取引を排除することは、危険な前例を作ることになる。今日はスパムが標的でも、明日はプライバシー保護ツールなど正当な用途が制限される恐れがある。
ビットコインの価値は、政治的にも法的にも中立なインフラである点に依存している。特定のデータや用途をプロトコルレベルで検閲するような動きは、外部からの規制圧力を招く原因にもなる。
低い承認基準とネットワークへの影響
BIP 110の技術的な設計も、大きな議論を呼んでいる。通常の重要な変更では95%のマイナーの賛成が必要とされるが、この提案は55%という低い基準で有効化される。
さらに、問題が発生した際に安全に提案を破棄するための仕組みも省かれている。このような低い基準で物議を醸す変更を強行すれば、ネットワークが分裂するリスクが高まる。
一部のノードだけが新しいルールを適用した場合、取引所やウォレットの運用に深刻な混乱を招く。過去にはイーサリアムでも同様の議論がネットワークの分裂を引き起こした事例がある。
また、特定の取引を制限することは、マイナーの手数料収入を減少させる要因にもなる。
このような混乱が続けば、投資家の資金が他の暗号資産(仮想通貨)に流れ、アルトコインシーズンが到来する可能性も否定できない。
報酬の半減期を経て、マイナーはますます手数料収入への依存度を高めている。その状況下で取引の種類を制限すれば、ネットワークに提供される計算力が低下し、長期的なセキュリティが弱まる可能性がある。
セイラー氏は、コンセンサスルールを変更するのではなく、既存の仕組みを活用すべきだと指摘した。手数料市場の競争や、ノード運営者の裁量によって不要な取引を処理する方が健全だ。
ビットコインの信頼は、手数料を支払うすべての有効な取引を平等に処理する中立的な基盤の上で成り立っている。この中立性こそが、ステーブルコインなどの他のデジタル資産にはない最大の強みである。