米JPモルガン、暗号資産関連サービスの新商標「JPMD」を出願

米金融大手JPモルガン・チェース銀行は16日、暗号資産(仮想通貨)関連サービスを対象とする新商標「JPMD」を米国特許商標庁に出願した。
申請書類によると、仮想通貨の取引や交換、送金、決済サービスを広範囲にカバーしている。
同行は既に機関投資家向けステーブルコイン、JPMコインを運用しており、今回の商標出願は暗号資産事業の拡大を示唆するものとみられる。
ステーブルコイン発行の可能性
特許庁への申請書類には、「仮想通貨、デジタル通貨、デジタルトークン、決済トークンの発行」といった記載が含まれており、新たなステーブルコイン発行の可能性を示している。
JPモルガンは現在、自社のクォーラム・ブロックチェーン上で米ドル裏付けのJPMコインを運用している。
このトークンは機関投資家間の即時決済に使用されているが、JPMDは一般消費者向けサービスへの拡大を含む可能性がある。
5月には、JPモルガンとバンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ウェルズ・ファーゴの4大金融機関が共同ステーブルコイン構想について協議していることが報じられており、今回の商標出願は同構想の一環とも考えられる。
暗号資産事業の急拡大
JPモルガンの暗号資産への取り組みは急速に拡大している。
6月上旬には、ビットコイン(BTC)現物ETFを融資担保として受け入れる新プログラムを開始した。
このプログラムでは、顧客の純資産評価時に暗号資産保有分も株式や美術品と同様に計算に含める方針を示している。
プログラムはまずブラックロックのiSharesビットコイントラストETFから開始し、取引や資産管理顧客へと順次拡大予定となっている。
同行のプライベート・ブロックチェーンネットワークは、1日あたり20億ドル超の取引を処理しており、デジタル資産インフラの整備が着実に進んでいる。
規制環境の整備が後押し
商標出願の背景には、米国における新しい仮想通貨規制環境の整備がある。
議会では現在、GENIUS法の最終投票が控えており、銀行運営のデジタル資産プラットフォームに関するガイドライン策定が期待されている。
また、証券取引委員会による機関向け暗号資産保管に関するガイダンス策定も予想されており、JPモルガンは規制が明確化される前に先行者利益を確保する狙いがあるとみられる。
ステーブルコイン市場は急成長を続けており、現在の市場規模は約2520億ドルに達している。
5月だけで主要8つのステーブルコインの取引量は4兆ドルを記録するなど、既存金融機関にとって見過ごせない規模に拡大している。