世界最大手銀行のHSBC、香港初トークン化預金サービスを開始

世界最大手銀行グループのHSBCは22日、香港初となるトークン化預金サービスを法人顧客向けに開始した。
アリババグループの金融子会社であるアント・インターナショナルが初のクライアントとして同サービスを利用し、即座の資金移転を実行した。
24時間対応のリアルタイム決済を実現
初期段階では、HSBC香港の法人ウォレット間での香港ドルと米ドルのリアルタイム決済を24時間体制でサポートする。
同サービスはHSBC独自のネットワークと技術基盤を活用して構築されており、銀行のデジタル通貨機能強化の基盤を確立している。
アント・インターナショナルはHSBCのサポートを受け、預金のトークン化を通じて関連会社間での即座の資金移転を成功裏に完了した。
この取引は同社の内部グローバル財務管理プラットフォーム「Whale(ホエール)」を通じて実行され、流動性管理の透明性、柔軟性、効率性が向上した。
従来の銀行システムと比較して、コストと処理時間の大幅な削減を実現している。
同プラットフォームはステーブルコインの仕組みと類似した技術基盤を持つが、伝統的な銀行預金をベースとしている点が特徴だ。
香港金融管理局との戦略的連携
トークン化預金サービスの設計は、香港金融管理局(HKMA)のプロジェクト・アンサンブルとの統合とサポートを目的としている。
この戦略的な連携により、香港の金融エコシステム全体でのトークン化とデジタル通貨のより広範な採用への道筋を築いている。
2024年10月には両社がHKMAのアンサンブル・サンドボックス下で香港ドル建てのクロスバンク実験を成功させており、今回のサービス開始につながった。
同サービスはHKMAの分散型台帳技術(DLT)監督インキュベーターによってサポートされる初のライブパイロット取り組みでもある。
この取り組みは分散型金融(DeFi)分野における伝統的金融機関の参入例として注目される。HSBCは銀行がDLTの利点を活用し、関連リスクを管理する方法を実証している。
今後の市場拡大計画
HSBCのグローバル決済ソリューション部門のルイス・サン氏は「規制金融機関によってサポートされるトークン化預金は、法人向けの決済とキャッシュマネジメント改善に向けた安全で完全にコンプライアントなアプローチを提供できる」と述べている。
アント・インターナショナルのケルビン・リー氏は「トークン化は従来の銀行の安定性とブロックチェーンの効率性を橋渡しする鍵だと信じている」と語っている。
HSBCは2025年後半にアジアと欧州市場への拡大を計画している。これにより、新しい暗号資産(仮想通貨)業界と伝統的金融機関の融合が加速していることを示している。