FTX、債権者に50億ドルのステーブルコイン配布|BTC急騰か

破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所大手のFTXは30日、債権者への第2回支払いとして50億ドル超のステーブルコインの配布を開始した。
今回の支払いは、裁判所が承認した破産再編計画に基づいて実施されている。
資金は1~3日以内に債権者の口座に到着する見込みで、一部の元FTXユーザーからは既に支払いを受け取ったとの報告が上がっている。
史上最大級の仮想通貨資産再配布
今回の配布は、USDコイン(USDC)、テザー(USDT)、バイナンスUSD(BUSD)などのステーブルコインを対象としており、カストディアルプラットフォームのBitGoとクラーケン(Kraken)を通じて実行された。
取引は東部時間午前9時頃に開始されている。
この50億ドルの支払いは、2023年2月の初回支払い12億ドルに続く第2弾となる。
対象となる債権者は、FTXが2022年11月に破産した時点での仮想通貨評価額に基づき、請求額の54%から120%を受け取る配分となっている。
今回の配布は、破産手続きで承認された5段階の債権者「便宜クラス」構造に従って実施されており、ユーザー残高と破産時期に基づいて請求の優先順位が決められている。
市場への流動性ショックを懸念
アナリストらは、この50億ドルの資金流入が仮想通貨市場に与える影響に注目している。
この金額は現在流通しているステーブルコインの総供給量の約2%に相当し、潜在的な流動性ショックを引き起こす可能性がある。
アナリストのマイルズ・ドイツシャー氏は、この資金流入が市場に急速に流れ込み、特にビットコイン(BTC)が史上最高値に近づく中で、ボラティリティ(価格変動)や価格急騰を引き起こす可能性があると指摘している。
一方で、資金を受け取った債権者がビットコインやイーサリアム(ETH)、アルトコインに再投資する場合は強気の勢いを加速させる可能性がある。
しかし、損失を回復するために市場から資金を引き揚げる場合は、短期的な下落圧力となる恐れもある。
トレーダーや取引所は、BitGoとクラーケンのウォレットを通じたオンチェーン活動を密接に監視し、リアルタイムの資金フローと価格反応を測定している。
FTXの2022年の破綻では約80億ドルのユーザー資金が失われており、今回の支払いは中央集権型取引所(CEX)への信頼回復にとって重要な意味を持つ。