金融庁、JPYCを「資金移動業」と初言及|PayPayと同枠組み

金融庁はこのほど、円建てステーブルコインを発行するJPYC株式会社を資金移動業者として公式資料で初めて明記した。
ステーブルコイン発行と資金移動業の位置づけ
金融庁が発行する広報誌の4月号で、金融庁総合政策局の岸本浩介資金決済業調整官がインタビューに応じた。その中で、国内初の日本円ステーブルコインを発行したJPYC株式会社について、資金移動業者であると明言した。
これまで同誌では匿名での言及にとどまっていたが、公式資料で初めて社名が明確に挙げられた。
ステーブルコインの発行と償還のプロセスは、資金決済法における為替取引に該当する。ユーザーから日本円を受け取ってコインを発行し、市場流通後に償還する一連の仕組みは「資金の移動」とみなされる。
この業務は、銀行と資金移動業者のみが担うことができる重要な役割となっている。
JPYCは2025年8月に資金移動業者として登録され、同年10月からステーブルコインの発行を開始した。PayPayや楽天ペイなどの決済サービスと同じ枠組みで厳格に監督されている。
金融庁の資金決済モニタリング室という同一部署が監督を担っており、経済的な機能が同じであると説明されている。
利用者保護と今後の事業展開
資金移動業の登録を前提とすることで、利用者保護の基盤が大きく強化されている。事業者は預かり資産の100%以上を確実に保全する義務を負う。
万が一事業者が破綻するような事態に陥った場合でも、利用者の資金は基本的に全額返還される仕組みが整えられている。
金融庁は全国に82社ある資金移動業者全体を継続的にモニタリングしている。監督業務においては、資産保全やマネーロンダリング対策といった経営の健全性を特に重視している。
同時に、ユーザーインターフェースの利便性向上や新サービスの相談にも柔軟に応じている。フィンテックサポートデスクなどを通じた事業支援により、安全で使いやすいサービスの提供を後押ししている。
JPYCは発行開始以来、順調に事業規模を拡大している。2026年2月時点での総発行量は12億8,000万円に達し、1日の取引高は最大で4億円を超えた。
4月時点での資金調達額は累計で約46億円を達成している。他社との協業や企業向けの入出金サービスを展開するなど、暗号資産(仮想通貨)市場における実用化が着実に進んでいる。