米ワイオミング州、公式ステーブルコインにAPTとSOL採用へ

米ワイオミング州委員会は20日、州発行ステーブルコイン「WYST」の基盤ブロックチェーンとして、アプトスとソラナを選定した。
両チェーンは11の候補から選ばれた最終候補で、いずれも32点の最高スコアを記録。
WYSTは8月20日のメインネット開始を目指している。
選定基準は処理能力と規制適合性
評価では、大規模なステーブルコイン発行への適性や規制要件への準拠能力が重視された。
アプトス(APT)は1秒未満の取引確定時間と約0.00055ドルの低手数料を誇り、月間ステーブルコイン取引高は300億ドルを超える。
ソラナ(SOL)も1秒間に6万5000件の取引処理能力と平均0.00025ドルの手数料で高く評価された。
第3位にはSeiが30点で入り、イーサリアム(ETH)やアバランチ(AVAX)などの主要チェーンを上回る結果となった。
委員会は7月17日までに最終的なパートナーを決定する予定だ。
LayerZero活用でマルチチェーン展開
WYSTはクロスチェーンプロトコルのLayerZeroを統合し、複数のブロックチェーン間でのシームレスな取引を実現する。
これにより、利用者は中央集権的なブリッジを使わずに異なるネットワーク間でトークンを移動できる。
現在、WYSTは各候補チェーンのテストネット上で稼働中で、LayerZeroとFireblocksの統合アーキテクチャとの連携テストが進められている。
マルチチェーン展開により、ステーブルコインの利便性と流動性の向上が期待される。
委員会のアンソニー・アポロ事務局長は、8月20日の正式開始に向けてスマートコントラクトの移行とリスク管理フレームワークの策定を進めていると述べた。
州主導デジタル通貨の先駆け
WYSTは2023年のワイオミング州安定トークン法に基づき、米国初の州政府発行ステーブルコインとなる見込みだ。
準備金から生じる利息は州の学校基金に充当され、教育投資にも貢献する。
プロジェクトは102%の過剰担保を法的に義務付けており、民間発行のステーブルコインと比べて高い透明性と安定性を確保している。
ワイオミング州はこれまでに20を超えるブロックチェーン関連法案を可決し、暗号資産分野での先進的な取り組みを進めてきた。
州主導のステーブルコイン発行は、連邦政府の規制対応の遅れとは対照的に、州レベルでの暗号資産採用を加速する新たな動きとして注目されている。