ステーブルコイン規制「GENIUS法案」進展、経済への影響は?

米国の暗号資産(仮想通貨)推進派であるデビッド・サックス氏は21日、ステーブルコイン法案「GENIUS法案」が可決されれば、米国債に数兆ドル規模の需要が生まれる可能性があると述べた。
GENIUS法案の概要と市場への期待
GENIUS法案(Guiding and Establishing National Innovation for US Stablecoins)は、米ドルなどに価値が連動するデジタル資産であるステーブルコインの規制を目的としている。
同法案は、発行、準備金、利用に関する明確な法的指針を確立することを目指す
トランプ大統領の仮想通貨・人工知能(AI)アドバイザーを務めるサックス氏は、現在2000億ドル(約28.6兆円)規模とされる未規制のステーブルコイン市場について言及。
法的な明確性が欠如しているため、機関投資家による本格的な採用が進んでいないと指摘した。
同氏は、法整備によって市場が数兆ドル規模へと急速に拡大すると予測している。
この法案は5月21日、米上院で重要な手続き上の採決を賛成66、反対32で通過した。
これにより、法案は最終的な可決に向けて前進するための60票の閾値をクリアし、超党派の支持があることが示された。
法案成立に向けた追い風と潜在的課題
GENIUS法案への支持は、当初民主党議員が抱いていた懸念に対処するための修正が行われた後に勢いを増した。
シンシア・ルミス上院議員(共和党、ワイオミング州選出)やビル・ハガティ上院議員(共和党、テネシー州選出)らが修正案の取りまとめを主導し、共和党と民主党双方の足並みを揃えることに貢献した。
サックス氏は、法制化された規制が機関投資家を惹きつけ、ステーブルコインの価値を安定させるための準備金として米国債への需要を押し上げると主張する。
実際に、テザー(USDT)の発行元であるテザー社は既に1200億ドル(約17兆1600億円)相当の米国債を保有しており、投資家の関心の高まりを示している。
アナリストの中には、この法案が仮想通貨の強気相場を引き起こす可能性があり、ステーブルコイン市場が2.5兆ドル(約357.5兆円)規模にまで拡大するとの見方もある。
規制の枠組みが整うことで、ステーブルコインの成長が加速し、「数兆ドル規模の需要」が生まれるとの期待が高まっている。
GENIUS法案を巡る論点
一方で、この法案にはいくつかの論点も存在する。
トランプ大統領の家族と、米国債を裏付けとするステーブルコイン「USD1」を支援する仮想通貨企業World Liberty Financialとの関連について、利益相反の可能性を指摘する声がある。
サックス氏はこの件に関するコメントを控えている。
さらに、法案の最終的な通過を複雑にする可能性のある要素として、ジョシュ・ホーリー上院議員(共和党、ミズーリ州選出)がクレジットカードの延滞料金に上限を設ける条項を追加したことが挙げられる。
この条項は、金融業界の支持者からの反対を招くリスクがある。
国際的な観点では、香港が最近打ち出したステーブルコイン規制は米国の取り組みとは異なるアプローチを示しており、仮想通貨のガバナンスにおける国際的な競争が浮き彫りになっている。
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