米FRB、銀行監督から評判リスク除外|仮想通貨業界に追い風か

米FRBは23日、銀行の監督プログラムから評判リスクを評価項目として除外することを明かした。
この動きは、曖昧な基準によって銀行が暗号資産(仮想通貨)関連企業の口座を閉鎖するデバンキングへの懸念に対応するものだ。
曖昧な基準を撤廃し、明確な監督へ
今回の決定は、通貨監督庁や連邦預金保険公社の同様の動きに続くものだ。
これにより、米国の主要な銀行規制当局全体で、監督方針の足並みがそろうことになる。
これまで銀行は、仮想通貨に関連する評判リスクを懸念し、規制当局からの圧力を受けてきた。
その結果、健全な仮想通貨企業との取引を敬遠する傾向があった。
FRBは、評判リスクのような主観的な評価基準をなくし、信用リスクや流動性リスクといった、より具体的な財務指標に焦点を当てる。
これにより、銀行が規制対象の仮想通貨企業と取引を行う際の道筋が明確になることが期待される。
規制緩和の背景にある業界と議会の動き
この規制方針の転換には、仮想通貨業界からの根強い働きかけがあった。
業界や共和党のシンシア・ルミス上院議員などは、デバンキングが技術革新の障壁になっていると批判を続けてきた。
特に、市場の主要な資産であるビットコイン(BTC)などの取引において、銀行サービスへのアクセスが制限されることは大きな問題とされてきた。
また、議会からの圧力も背景にある。
ティム・スコット上院銀行委員長は2024年3月、規制当局が評判リスクを監督措置に用いることを禁じる法案を提出した。
超党派で規制の行き過ぎに対する懸念が示されていた。
FRBは、銀行が引き続き堅牢なリスク管理体制を維持することの重要性を強調した。
今回の変更は、技術革新を阻害することなく、金融システムの安全性と健全性を確保するためのFRBの取り組みの一環だと説明している。
業界関係者は、この変更を銀行と仮想通貨の健全な関係構築に向けた一歩と評価している。
この規制緩和は、銀行がDeFiのような革新的な分野へ参入するきっかけとなる可能性も秘めている。
一方で、資金洗浄対策などの課題は依然として残る。