厳格化するイギリスの仮想通貨規制|FCAの認可取得に企業苦戦

英国の金融行為規制機構(FCA)は9日、2023年の暗号資産(仮想通貨)企業の認可申請の87%を拒否したと発表した。マネーロンダリング対策や不正検知体制が不十分だったことが主な理由だ。
厳格化する英国の暗号資産規制
FCAへの認可申請件数は3年間で51%減少した。これは規制要件が厳しすぎることが背景にあるとみられる。
年次報告書によれば、多くの企業がマネーロンダリング対策や不正検知、消費者保護に関する基準を満たせていない。昨年認可を受けた企業はわずか44社にとどまった。
同機関の広報担当者は、仮想通貨企業向けに詳細なガイダンスとサポートを提供していると主張する。しかし、英国会計検査院は、FCAに仮想通貨を理解する専門家が不足していると指摘している。
これが申請処理の長期化につながっており、企業は平均459日も審査結果を待たされている状況だ。
企業の海外流出懸念
FCAへの申請件数は昨年29件で、2年前の59件から大幅に減少した。2024年第1四半期の申請はわずか7件だった。
仮想通貨取引所などの企業は待ちくたびれて海外での認可機会を模索し始めている可能性が高い。これは英国が世界的な仮想通貨ハブになる能力を損なう恐れがある。
FCAの仮想通貨広告規制は厳しすぎる?
過去3年間で約190社がFCAの厳しい仮想通貨広告規制を理由に自主的に申請を取り下げている。
この規制には24時間の熟慮期間が含まれており、投資家は仮想通貨投資を確定するまでに24時間待たなければならない。
FCAは投資家がこの間に決定を再考し、関連リスクを評価する時間を提供していると説明している。
同機関はまた、仮想通貨企業に対して関連リスクを明確に説明し、投資家の仮想通貨知識を評価し、詳細な記録を保持することを求めている。
英国の仮想通貨規制は消費者保護を目的としているが、同時に国内への資本流入を妨げ、デジタル資産採用のリーダーになる可能性を損なっている。
英国が仮想通貨分野で繁栄するためには、規制とイノベーション支援のバランスを取る必要があるだろう。