テザー、米国規制に対応した新ステーブルコイン発行を検討

ステーブルコイン最大手のテザー(USDT)は24日、米国のステーブルコイン規制に対応した新たなデジタル通貨の発行を検討していることを明らかにした。
総合情報サービス会社ブルームバーグの報道によると、テザーのパオロ・アルドイーノCEOは、米国で検討されているGENIUS法への対応について詳細を説明した。
同氏は、テザーが海外市場への注力を継続する方針を示す一方で、米国の機関投資家向けに規制準拠型のステーブルコインを発行する可能性があると述べた。
GENIUS法対応と市場戦略
検討されているGENIUS法は、ステーブルコインの発行体に対し、現金や短期国債などの「安全資産」による完全な裏付けを義務付ける内容となっている。
また、マネーロンダリング防止法や銀行秘密法の遵守も求められる。
アルドイーノCEOは、テザーが同法への準拠を検討している一方で、米国市場と国際市場での事業を明確に区別する方針を示した。
現在のテザーは主に海外市場向けのサービスとして継続し、新たに米国規制に準拠したステーブルコインを別途発行する構想だ。
テザーの保有資産の大部分は既に規制要件を満たしているが、一部のビットコイン(BTC)や担保付きローンなどは、GENIUS法の基準に適合しない可能性がある。
このため、米国市場向けの商品では、これらの資産を除外する必要があるとみられる。
グローバル展開と監査体制の強化
アルドイーノCEOは、銀行発行のステーブルコインとの競合について、テザーの独自性を強調した。
同氏によると、テザーの主要な利用者層は世界で30億人に上る金融サービス未利用者であり、この市場での優位性は揺るがないとの見解を示している。
透明性向上の取り組みとして、テザーは大手監査法人との包括的監査実施に向けた協議を進めている。
これにより、機関投資家からの信頼獲得を目指す方針だ。米国向けステーブルコインの発行時期については、2025年後半に近づく可能性があると言及した。
テザーは現在、ステーブルコイン市場の60%以上のシェアを占める最大手の地位を維持している。
同社の戦略は、仮想通貨市場の成熟化に伴う規制対応の重要性を示しており、今後も海外市場での事業拡大を継続しながら、米国規制への対応を進める見通しだ。