SBIグループ、サークル社に72億円出資|USDCの日本普及へ

SBIホールディングスとSBI新生銀行は9日、米ドル連動型ステーブルコインUSDC発行元のサークル社に総額5000万ドルを出資した。
この投資は6月5日のニューヨーク証券取引所上場後に実行され、両社がそれぞれ2500万ドルずつ拠出。サークル社の新規株式公開は大きな話題となり、公開価格31ドルに対して初日終値は83.23ドルと168%の上昇を記録した。
IPO大成功で時価総額2兆円超に
サークル社のIPOは圧倒的な需要を集めた。当初の公開価格帯24~26ドルから最終的に31ドルで決定し、3日間の取引で株価は最高138.57ドルまで上昇。公開価格から347%の上昇に相当し、時価総額は約167億ドルに達している。
機関投資家からの申し込みは募集枠の25倍に上り、アーク・インベストメント・マネジメントが最大1億5000万ドルの購入意向を示すなど、強い関心を示した。SBI側は複数の機関投資家の中でも上位レベルの株式数を取得したとしている。
サークル社は世界第2位のステーブルコインUSDCを発行し、約610億ドルの流通量を持つ。米ドル建てステーブルコインとして信頼性と透明性を兼ね備え、国際送金や決済インフラとして利用が拡大している。
日本市場でのUSDC普及戦略を加速
今回の出資は、3月に設立された合弁会社「サークルSBIジャパン」を通じた戦略的提携の一環だ。両社は2023年11月の包括的業務提携合意に基づき、日本国内でのUSDC採用と流通拡大を目指している。
SBI VC Tradeは3月に日本の金融サービス庁からUSDC取り扱い承認を取得し、国内初のUSDC公開取引サービスを開始。USDCは日本で法的に認められた初のグローバルドル建てステーブルコインとなった。
SBIグループは今回の投資により、第4四半期までに月間50億ドルのUSDC取引処理を計画している。また、日本と東南アジア間の1兆1000億ドル規模の貿易において、USDCをブリッジ通貨として活用する構想も描いている。
SBIはリップル社とも長期的な提携関係を維持しており、2016年の投資以来、SBIリップルアジアを通じてアジア地域でのブロックチェーン決済システム構築を進めてきた。今回のサークル社投資は、新しい仮想通貨インフラ分野での多角的な戦略の一環として位置づけられる。
日本では仮想通貨規制の整備が進み、決済システム近代化の動きもある中、SBIとサークルの提携は日本のおすすめ仮想通貨市場における重要な転換点となる可能性がある。