安全資産需要、金は良好もビットコイン苦戦|JPモルガン分析

金融サービス大手JPモルガンは17日、安全資産需要に関する分析レポートを発表した。
同レポートは、現在の金融環境下における安全資産への需要動向を分析するもので、近年注目を集める暗号資産(仮想通貨)市場全体の動向にも影響を与える可能性がある。
マクロ経済の不確実性が高まる中、金は安全資産として投資家の関心を集めている。
一方、ビットコイン(BTC)は同様の需要を惹きつけられていない状況だ。
金への資金流入とビットコインの停滞
金は伝統的な安全資産としての魅力から、金ETF(上場投資信託)や先物市場への顕著な資金流入が見られる。
これは、投機的関心の低下やETFからの資金流出が見られるビットコインとは対照的である。
レポートによると、2025年第1四半期には、金ETFに211億ドル(約3兆173億円)の純流入があった。
特に中国と香港からの資金流入が大きく、マクロ経済の不安定期における金の魅力を再確認させる結果となった。
「デジタルゴールド」とも称されるビットコインだが、金のような安全資産としての需要を集めるには至っていない。
価格は8万4300ドル(約1,205万円)付近で安定しているものの、金市場で見られるような資金流入の勢いは欠いている。
背景にある要因と今後の見通し
この傾向には複数の要因が影響している。世界経済の先行き不透明感の高まりが、投資家を金のような伝統的な安全資産へと向かわせている。
また、関税引き上げや貿易摩擦といった緊張も、経済不安に対するヘッジとしての金の地位を強化した。
経済成長やインフレへの懸念は、歴史的に安定性を提供してきた資産への投資家の選好をシフトさせている。
ビットコインを「デジタルゴールド」とする見方は試されており、不安定な時期には伝統的な資産を好む投資家が増加している状況だ。
これらの動向は、特に不確実性の高い局面における仮想通貨投資のリスクと機会を再考させる材料となる。
JPモルガンのアナリストは、ビットコインの重要なサポート価格として6.2万ドル(約887万円)を指摘する。
これは、ビットコインの推定生産コストと考えられている水準である。
JPモルガンは今後の見通しとして、インフレ圧力、貿易摩擦、中央銀行による購入などを背景に金価格の上昇を予測している。
これにより、安全資産としての金の役割はさらに強固なものになると考えられる。
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