仮想通貨ファンド、5月に70億ドル超の純流入|株・金は流出

暗号資産(仮想通貨)ファンドの総資産額は5月、294のファンドが70億5000万ドルの純流入を記録し、過去最高額の1670億ドル(約24兆2150億円)に達した。
一方で、同期間に世界の株式ファンドからは59億ドル(約8555億円)の純流出があった。金ファンドも15ヶ月ぶりに資金流出に転じ、その額は6億7800万ドル(約983億1000万円)に達した。
この成長は、投資家の行動に戦略的な変化が見られることを示唆する。仮想通貨は単なる投機的資産ではなく、市場の変動に対するヘッジ手段として認識されつつある。
伝統資産から仮想通貨への資金シフトか
アナリストは、ビットコイン(BTC)の過去3ヶ月間のパフォーマンスに着目している。
ビットコインは15%以上上昇し、金(13.3%)やMSCI世界指数(3.6%)を上回った。
この傾向は、ビットコインが高リスク資産であると同時に、ポートフォリオの分散化に有効な手段としての役割を強めていることを裏付けている。
機関投資家の関心も高まる
投資家の間では、米ドル安の見通しや債券利回りの上昇、株式市場の不安定さに対する警戒感が高まっている。このような不確実性の中で、ビットコインの底堅さが機関投資家の関心を集めた。
特に、米国での現物型ビットコインおよびイーサリアム(ETH)上場投資信託(ETF)の承認が、この流れを加速させたとみられる。
仮想通貨ファンドは今や、分散投資ポートフォリオに組み込まれるようになっている。これにより、金や株式といった伝統的な安全資産への依存が軽減されている。
流入額の内訳を見ると、70億5000万ドルのうち55億ドルがビットコイン関連ファンドに集中しており、機関投資家のポートフォリオにおけるビットコインの優位性を示している。
イーサリアムファンドにも8億9000万ドルの流入があり、アルトコインがヘッジ戦略の一部として広く採用され始めていることがうかがえる。
マクロ経済が不安定な中で、ビットコインが価値の保存手段としての役割を強めていることも、その魅力を増幅させている。
アナリストは、ビットコインの優れたパフォーマンスを、中央集権的な金融リスクに対する分散型ヘッジとして認識が高まっている証左だと指摘している。