USDC発行サークル社、ナスダックへ株式上場|初日168%急騰

大手ステーブルコイン発行企業サークル・インターネット・グループは5日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)でCRCLのティッカーシンボルで取引を開始した。
同社株はIPO価格31ドルから大幅に上昇し、69ドルで始値を付けた。取引終了時には83.23ドルまで上昇し、IPO価格から168%の急騰を記録した。
予想を大きく上回るIPO価格設定
サークルは当初24ドルから26ドル、その後27ドルから28ドルの価格帯で公開を予定していたが、強い需要を受けて最終的に31ドルで価格設定を行った。
同社は3400万株を公開し、11億ドルの資金調達を実現した。これにより企業価値は約68億ドル(約9700億円)に達している。
IPOの引受には、JPモルガン、シティグループ、ゴールドマン・サックスが主幹事として参加した。当初は2400万株の売り出しで6億2400万ドルの調達を目指していたが、需要の高まりを受けて売り出し株数を段階的に拡大し、最終的に現在の規模となった。
取引初日の記録的パフォーマンス
サークル株は取引開始後も勢いを維持し、日中高値は103.75ドルまで上昇した。ボラティリティの高さから取引が何度も一時停止される場面もあった。
取引量は約4600万株に達し、実際に市場で流通している株式数を大幅に上回る活発な売買が行われた。
この成功により、ジェレミー・アレアCEOをはじめとする創業者らの保有株式価値が大幅に上昇した。同社の時価総額は完全希薄化ベースで約180億ドル(約2兆6000億円)に達している。
暗号資産業界への影響と今後の展望
今回の成功は、2021年のCoinbase上場以来最大規模のビットコイン(BTC)関連企業の株式公開となった。
大手ステーブルコイン発行企業サークルは米ドル連動型ステーブルコイン「USD Coin(USDC)」を発行しており、USDCは世界第2位のステーブルコインで、市場シェア27%を占める。
機関投資家のARKインベストメント・マネジメントが最大1億5000万ドル相当の株式購入に関心を示していると報告されている。このIPOの成功により、他の新しい仮想通貨企業による株式公開への道筋が開かれる可能性が指摘されている。
サークルの上場は、トランプ政権下でより友好的な仮想通貨規制環境が期待される中で実現した。米国議会ではステーブルコインに関する明確な規制枠組みの策定が進められており、この分野の法的整備が進展することで、公開企業として運営されるステーブルコイン発行者に優位性をもたらす可能性がある。