アリペイ親会社アント、香港でステーブルコインライセンス申請

アリペイ運営のアント・グループ国際部門は12日、香港とシンガポールでステーブルコイン発行ライセンス取得を目指すとブルームバーグが報じた。
香港では8月に新たな規制制度が施行される予定で、これに合わせた動きとなる。同社は自社の国際決済事業強化を図る狙いがある。
8月施行の新規制に対応
香港の立法会は5月21日、ステーブルコイン発行者のライセンス制度を確立するステーブルコイン条例案を可決した。
アント・インターナショナルは、規制制度が8月に施行され次第、ステーブルコイン発行者のライセンスを申請する予定だ。
この条例の施行により、香港でステーブルコインを発行する者、または香港域内外で香港ドルに連動させたステーブルコインを発行する者には香港金融管理局からの免許取得が義務付けられる。
無許可での発行には最大500万香港ドルの罰金が科される。
同社は本拠地であるシンガポールとルクセンブルクでも同様のライセンス申請を行う予定だ。
国際決済事業の拡大狙う
アリペイは、中国の第三者決済市場のシェア55%を占める最大手プロバイダーであり、10億人を超えるユーザーを有する世界最大のモバイル決済プラットフォームとして知られている。
関係者によると、2024年には同社の世界における取引総額1兆ドルのうち、約3分の1がブロックチェーンベースのWhaleプラットフォームを通じて処理されたという。
アント・インターナショナルは、この国際決済プラットフォームにおいてステーブルコインを活用し、より効率的な越境決済サービスの提供を目指している。
アント・グループとその関連企業は、これまでもブロックチェーンやトークン化技術に関心を示してきた。今回のライセンス申請は、規制が整備された市場での事業拡大を図る戦略の一環とみられる。
ステーブル コイン市場への参入加速
ステーブルコインは、法定通貨などの伝統的な金融資産の価値に連動するトークンで、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、その他の暗号資産(仮想通貨)の価格変動を相殺する役割を果たす。
香港では規制環境の整備により、大手金融機関やテクノロジー企業が新しい仮想通貨市場への参入を検討する動きが活発化している。
アント・インターナショナルの参入表明は、こうした流れを象徴する動きの一つといえる。