JPモルガン、ステーブルコイン市場の「ゼロサムゲーム」に警告

JPモルガンは19日、ステーブルコインUSDCの発行元であるCircleが、市場における厳しい競争に直面しているとの分析を公表した。
アナリストレポートによると、複数の企業が米国準拠の新しいステーブルコインの立ち上げを準備しており、Circleを取り巻く競争環境は激化している。
ステーブルコイン市場に新規参入が相次ぐ
ステーブルコイン市場で最大のライバルであるTether社は、GENIUS法に準拠した新たなステーブルコインUSATを開発している。
同社は準備金をAnchorage Digitalに預託することで、信頼性の構築、コスト削減、リスク軽減を図る計画だ。これは、既存のUSDTの準備金コンプライアンス率が約80%にとどまる中での動きとなる。
また、分散型取引所のHyperliquidも、独自のステーブルコインUSDHのローンチを準備している。
現在、同社の先物取引におけるUSDCの利用率は約7.5%を占めており、USDHの導入でUSDCへの依存度を下げることが狙いだ。
さらに、フィンテック企業のRobinhoodやRevolutも独自のステーブルコイン開発を進めており、市場競争は一層激しさを増している。
「ゼロサムゲーム」化する市場とCircleの対抗策
JPモルガンのアナリストは、仮想通貨市場全体が大幅に拡大しない限り、米国のステーブルコイン発行体にとっては「ゼロサムゲーム」になる可能性があると指摘した。
ステーブルコイン市場の総額は約2,780億ドル(約41兆1,440億円)に達するが、仮想通貨市場全体に占める割合は2020年以降8%未満で推移している。
この状況は、市場全体のパイが拡大しなければ、発行体は共に成長するのではなく、限られた市場シェアを奪い合う構図に陥ることを意味する。
新たな規制準拠のステーブルコインの登場は、GENIUS法などの新しい規制の枠組みに対応する戦略的な動きといえる。
こうした競争圧力に対し、CircleはUSDCの速度、セキュリティ、相互運用性を最適化するために設計された専用のステーブルコインブロックチェーン「Arc」を開発し、対抗策を講じている。
今後のステーブルコイン市場の競争は、技術革新だけでなく、規制遵守や運用効率、既存金融インフラとの統合が中心的な要素となりそうだ。