米英当局、テザーを悪用した露制裁回避ネットワークを摘発

米国と英国の当局は5日、暗号資産(仮想通貨)を利用してロシアの富裕層による制裁回避を支援した資金洗浄ネットワークの摘発に踏み切った。
テザーを利用した制裁回避スキーム
ネットワークの中心人物は、ロシアの実業家エカテリーナ・ジダノワ氏。同氏は金融アンダーグラウンドでのテザー(USDT)の台頭に関与したとされる。
スマートグループを運営する同氏は、現金の大量配送を仮想通貨に変換するサービスを富裕層向けに提供していた。
米財務省によると、ネットワークのロシア人メンバーはジダノワ氏が管理するデジタルウォレットにテザーを送金。
また、同氏は顧客の英国での不動産購入資金の出所を隠蔽した疑いも持たれている。この件で同氏を含む6名が制裁対象に追加された。
取引規模と資金洗浄の手口
同氏のテレグラムアカウントから回収されたメッセージによると、同氏に関連するデジタルウォレットでは3億5000万ドル(約5250億円)超の取引が確認された。
同氏はロシアのオリガルヒや高官とのつながりを持ち、モスクワで高級旅行サービスやブティックホテルを運営していた。2023年末、別の資金洗浄捜査で仏当局に拘束された。
英国家犯罪対策庁(NCA)は、スマートグループがロシアのスパイ活動への資金提供や、アイルランドのキナハン・カルテルを含む犯罪組織の資金洗浄に関与したと指摘。
ロンドンを拠点とする同氏の指揮下のネットワークは、英国内での現金の受け渡しを通じて1900万ドル(約285億円)の資金洗浄を行ったとされる。
ロシアの仮想通貨規制の動向
一方、プーチン大統領は先週、仮想通貨採掘に関する新たな税制を導入する連邦法に署名。この法律では仮想通貨を財産として法的に認定している。
🇷🇺 PUTIN: Who can stop #Bitcoin? Nobody. pic.twitter.com/MZOJl4CaZy
— Bitcoin Archive (@BTC_Archive) December 4, 2024
ロシアは2024年8月に仮想通貨採掘を合法化し、11月1日から施行された法律では、登録されたロシア企業と個人事業主のみが採掘を許可されている。
この事件は、制裁下での仮想通貨の悪用リスクと、規制当局による監視強化の必要性を浮き彫りにした。