ロシア政府、一部地域で仮想通貨マイニングを制限|電力不足に対応

ロシア政府は19日、シベリアや北カフカス地方、ウクライナ占領地域での暗号資産(仮想通貨)マイニングを禁止する方針を発表した。
冬季の電力不足に対応するための措置で、2024年冬から施行される。この規制は深刻化する電力供給の不安定さに対処するための包括的な取り組みの一環として位置づけられている。
規制対象地域と実施期間
規制対象となるのはシベリアのイルクーツク地方、ブリヤート共和国、ザバイカルスキー地方、北カフカスのチェチェン、ダゲスタンを含む6つの共和国、そしてウクライナの占領地域であるドネツク、ルハンスク、ザポリージャ、ヘルソンだ。
シベリア地域では2025年3月15日までの冬季限定で、その後2031年までは毎年11月15日から3月15日まで規制が実施される。北カフカスと占領地域では2024年12月から2031年3月まで通年での規制となる。
特に占領地域では2022年以降の戦闘により電力インフラが深刻な被害を受けており、電力供給の安定化が急務となっている。
規制強化の背景と影響
エネルギー省の発表によると、ロシアの仮想通貨マイニングによる年間電力消費量は約160億キロワット時で、国内総電力使用量の約1.5%を占める。
米国に次ぐ世界第2位のマイニング大国であるロシアにとって、電力供給の安定化は喫緊の課題となっている。規制はプーチン大統領が11月1日に署名した新法の一環で実施される。
シベリア地域では豊富な水力発電による低コストの電力供給が、これまで多くのマイニング事業者を引き付けてきた。しかし、この状況が地域の電力網に過度な負担をかけているとして、政府は具体的な対策に踏み切った。
今後の動きと業界への影響
今回の規制は暖房シーズンの電力需要増加に対応するための措置だが、同国の一部の議員からは国際制裁を回避するための手段として仮想通貨関連の規制緩和を求める声も上がっている。
新法では国境を越えた仮想通貨決済のための実験的なインフラ整備も計画されており、ロシアの仮想通貨政策は規制と活用の両面で展開されている。
マイニング事業者は、事業継続のための新たな立地選定を迫られることになる。同国の財務省は仮想通貨収益に対する15%の課税案も提出しており、マイニング事業者にとっては規制と課税の両面での対応が求められる状況となっている。
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