韓国新政府、ステーブルコイン発行解禁へ|6兆円市場創出か

韓国の与党「共に民主党」は10日、企業によるステーブルコインの発行を許可する内容を盛り込んだ「デジタル資産基本法」を発表した。
デジタル資産基本法の概要
この法案は、2024年に成立した投資家保護に重点を置く「仮想資産投資家保護法」を土台とするものだ。デジタル資産の発行に関する包括的な枠組みの構築を目指している。
法案の主な柱は、ステーブルコイン発行のライセンス制度導入である。発行を希望する企業は、金融委員会(FSC)から承認を得る必要がある。さらに、5億ウォン(約5,330万円)を超える自己資本を維持することが義務付けられる。
また、発行者にはステーブルコインの価値を保証するための十分な準備金の確保が求められる。政策の執行と市場活動の監視を目的として、大統領直属の「デジタル資産委員会」が新設される予定だ。
政策の背景と市場への影響
今回の政策は、イ・ジェミョン大統領が掲げる暗号資産(仮想通貨)推進公約の一環だ。海外のステーブルコインへの依存を減らし、資本流出を防ぐため、韓国ウォンを基盤とするステーブルコイン市場の育成を目指す。
この動きは、米国のGENIUS法や香港のステーブルコインライセンス制度など、世界の規制トレンドとも一致する。韓国はデジタル資産規制の分野で主導的な立場を確立しようとしている。
背景には、韓国国内でのステーブルコイン取引の急増がある。2025年第1四半期の取引額は57兆ウォン(約6兆2700億円)に達し、整備された監督体制の必要性が高まっていた。
一方で、韓国銀行は民間ステーブルコインが金融政策の管理を損なう可能性があると警告しており、規制当局との間で緊張感が生まれている。
市場ではカカオペイなどの仮想通貨関連株が急騰したが、アナリストは未解決のリスクを理由に性急な楽観論に警鐘を鳴らしている。この法案は、ビットコインETFの承認や国民年金基金によるビットコイン投資など、イ大統領が進める広範な仮想通貨関連政策を補完するものとなる。