ドル型ステーブルに欠陥、金裏付け通貨が代替に|シフ氏提唱

経済学者で著名な金支持者であるピーター・シフ氏は20日、米ドルに価値が連動するステーブルコインを批判し、代替案として金に裏付けられた通貨を推奨する考えを示した。
ドル連動ステーブルコインへの懸念と背景
同氏は長年、米ドルのような政府発行の法定通貨がインフレや価値下落の影響を受けやすいと批判してきた。
最近、この批判を米ドル連動のステーブルコインにも拡大し、これらのデジタル資産は基軸となる米ドルの欠点をそのまま受け継いでいると主張している。
価値が下落しつつある法定通貨に連動するデジタル資産を選ぶことは論理的ではない、というのが同氏の見解だ。
この懐疑的な見方の背景には、米国のインフレ政策や増え続ける国家債務により、ドルの購買力が失われているという強い懸念がある。
シフ氏は、法定通貨を基盤とする暗号資産(仮想通貨)は、これらのリスクを増幅させるだけだと見なしている。
また、この発言は米国内でステーブルコインを規制しようとする法整備の動きと時期を同じくする。シフ氏は、ドル連動型トークンを合法化しようとする超党派の取り組みを近視眼的だと批判し、反対の立場を明確にしている。
歴史的にビットコイン(BTC)を批判してきた同氏だが、今回のコメントではその有用性の可能性を認めつつも、ステーブルコインの優れた基盤としては依然として金が優位であるとの立場を崩していない。
金本位制への回帰と業界の議論
シフ氏は代替案として、金のように本質的な価値を持ち、インフレへの耐性が証明されている資産をステーブルコインの裏付けとすべきだと強調する。
同氏は金を安全資産として長年推奨しており、金に裏付けられたトークンは流動性と真の価値保存手段の両方を提供できると主張。さらにシフ氏は、自身の哲学に沿った金本位制ステーブルコインを開発する構想も示唆した。
これはブロックチェーン技術と現物資産を結びつける試みとなる。市場にはすでにテザー・ゴールド(XAUT)やパクソス・ゴールド(PAXG)といった同様の仕組みを持つ仮想通貨が存在する。
シフ氏の発言は、ステーブルコインの裏付け資産は法定通貨であるべきか、それとも金のようなコモディティであるべきかという業界内の議論を再び活発化させた。
ドル連動ステーブルコインは国際送金などで実用的な利便性を提供すると主張する声がある一方、金本位制トークンの支持者は長期的な安定性を重視している。