英企業、政府認可を得てポンド建てステーブルコイン発行へ

BCP Technologiesは3日、英国金融行為監督機構(FCA)の認可を受けた企業として初となるポンド建てステーブルコイン「トークン化GBP(tGBP)」を発行した。
同社は14カ月間にわたるFCAの審査プロセスを経て、規制準拠のポンド建てステーブルコインの提供を開始したと発表した。
規制サンドボックス経由で実現した革新
tGBPは英ポンドと1対1で連動し、英国の規制当局が監督する金融機関の分別管理口座で保有される準備金によって完全に担保されている。
BCP TechnologiesのCEOであるベノワ・マルズーク氏は「ブロックチェーンの複雑さを英ポンドという馴染みやすさで抽象化し、最終的に従来のGBP電子マネーを当社のGBPステーブルコインで置き換えることを目指している」と述べた。
同社は2021年にFCA登録の暗号資産(仮想通貨)サービス事業者となり、以前はBitcoinPointとして運営していた。tGBPの発行には14カ月間の包括的な提出プロセスに加え、FCAの規制サンドボックス・プログラムでの1カ月間のパイロット運営が含まれている。
tGBPはイーサリアム(ETH)ブロックチェーン上のERC-20トークンとして構築され、同社の取引プラットフォーム「BCP Markets」で入手可能となっている。
限定的だった英ポンド仮想通貨市場に新選択肢
これまで英ポンド建てのステーブルコインは、主に海外事業者によって提供され、流動性や採用率が限られていた。現在追跡されているポンド建てステーブルコインはVNX British Pound(VGBP)とCelo British Pound(CGBP)の2つのみで、両者の時価総額は50万ドル(約7150万円)未満にとどまっている。
Tether(テザー)も2022年にポンド建てステーブルコインを発行したが、市場で大きな普及は実現していない。同社は現在、2つの大手取引所との上場交渉を進めており、今後数週間以内に発表予定としている。
マルズーク氏によれば、tGBPは個人と法人の両方に対して銀行の代替手段としての自己保管、国境を越えた決済、機関投資家の担保管理、分散型金融(DeFi)レンディングプロトコルでのポンド利用、債券や証券、不動産などのトークン化資産決済における主要なポンド基軸通貨としての活用など、幅広い用途を想定している。
BCP Technologiesは、tGBPを「将来のFCAステーブルコイン規制の実証実験」として位置づけており、7月4日に開催予定のFCA円卓会議にも参加する予定となっている。