セルシウス、テザーへの40億ドルのBTC担保訴訟を続行へ

米国の破産裁判所判事は2日、経営破綻した暗号資産(仮想通貨)レンディング企業セルシウスが、ステーブルコイン発行企業のテザーに対して起こした40億ドル(約5760億円)規模の訴訟を続行することを認めた。
セルシウスは2024年8月、テザーを提訴した。2022年6月の流動性危機において、テザーが契約条件に違反したと主張している。
訴訟の背景と法的な争点
当時、ビットコイン(BTC)価格が急落し、テザーからのマージンコールが発生した。
セルシウスの主張によると、テザーは8億1200万ドルの債務を回収するため、担保として預かっていた3万9500BTCを清算した。
この清算は、契約で定められた10時間の待機期間が経過する前に行われた。
清算されたビットコインは現在価値で約40億ドルに相当し、平均価格2万656ドルで売却された。
資産は合意された手続きを無視し、テザーの関連会社であるBitfinexの口座に移された。
セルシウスは、テザーの行為が英領バージン諸島法における誠実かつ公正な取引の原則に違反すると主張する。
さらに、この清算は米国の破産法上、詐欺的かつ優先的な譲渡にあたり、テザーが不当に利益を得たと訴えている。
裁判所は米国の破産規則に関連する申し立てを棄却するよう求めたテザーの主張を退けた。
債権者への返済と今後の影響
訴訟は続いているものの、セルシウスは債権者への返済に進展を見せている。
2024年1月以降、25万1000人の請求者に対し、請求額の93%にあたる25億ドルを分配した。
一方、テザーはこの訴訟を根拠がないゆすりであるとして一貫して退けている。
同社は、セルシウスの主張には根拠がなく、恐喝が動機であると反論している。
テザー社が発行するUSDTは、市場で広く利用されている代表的なステーブルコインだ。
この裁判は、中央集権的な仮想通貨企業間の契約の強制力、特に破産法下での扱いに焦点を当てている。
今回の判決は、今後の仮想通貨担保管理の実務に影響を与える。