英バークレイズ、6月からカードでの仮想通貨購入を禁止へ

英国の大手銀行バークレイズは25日、クレジットカードを使用した暗号資産(仮想通貨)の購入を禁止することを明らかにした。この措置は2025年6月27日より適応され、主に英国のユーザーに影響を与える。
規制強化とリスク回避が背景に
今回の決定は、英国金融行動監視機構(FCA)による仮想通貨取引への監視強化に沿ったものだ。FCAは、特に信用取引を通じた購入に伴う詐欺のリスクや、市場の急変動による消費者の損失を懸念している。
バークレイズは、価格変動の激しい仮想通貨市場に関連するリスクから顧客を保護し、信用関連の損失を軽減することを目的としている。この動きは、同行の米国法人であるバークレイカードUSが2025年2月に同様の制限を示唆した流れを汲むものだ。
バークレイカードのマネージングディレクター、ポール・ウィルモア氏は当時、「カードでの仮想通貨購入を許可しない決定を下す可能性が高い」と述べていた。
今回の禁止措置は、バークレイカードを使った直接的な小売購入に適用されるが、他の支払い方法による取引は引き続き可能である。金融機関が仮想通貨への関与に慎重になる広範な業界トレンドを反映している。
業界内外で賛否両論
この禁止措置に対し、業界団体からは批判の声が上がっている。英国決済協会は、この規制が消費者の選択の自由を不当に制限するものだと主張する。
同協会のリッカルド・トルデラリッキ氏は、「消費者は情報に基づいた決定を下せると信頼されるべきだ」と述べ、仮想通貨へのアクセスをギャンブルと同等に扱う規制の在り方を批判した。
この動きは、他の金融機関の戦略とは対照的である。例えば、マスターカードは最近、チェーンリンクと提携し、オンチェーンでの仮想通貨購入を容易にする取り組みを進めている。
特にビットコイン(BTC)のような主要資産へのアクセス手段は多様化しつつある。このように、伝統的な銀行がリスク抑制を優先する一方で、フィンテック企業は革新的なサービスを推進しており、業界内でのアプローチの違いが浮き彫りになった。
バークレイズの決定は、世界的な地政学的緊張や金融政策を背景に低迷から回復しつつある仮想通貨市場の個人部門に冷や水を浴びせる可能性がある。
このような規制強化は、ボラティリティの低いステーブルコインの利用にも影響を及ぼすかもしれない。また、英国での規制が先例となり、他の地域でも同様のガイドラインが標準化される可能性も考えられる。