ステーブルコイン企業のIPOブームはバブル状態|ヘイズ氏警告

暗号資産(仮想通貨)取引所BitMEXのアーサー・ヘイズ創設者は17日、ステーブルコイン市場がバブル状態にあり、多くの投資家が損失を被る危険性があると警告した。
ヘイズ氏は、最近IPOを果たし株価が倍増したステーブルコインUSDC発行企業サークル社について「甚だしく過大評価されている」と指摘。この成功は持続的な成長ではなく、投機的なバブルの兆候であると主張する。
新規発行者の構造的欠陥と市場リスク
同氏によれば、ステーブルコインの成功には取引所との提携といった強力な配布網が不可欠だ。しかし、このネットワークを持つのは、テザー(USDT)やUSDCのような既存の大手のみであると分析している。
新規市場参入者の多くは、実行可能な流通モデルを欠いている。テザーはBitfinexとの初期提携により、またサークル社は米国拠点の信頼性を活かして大手取引所コインベースと強力なネットワークを築いたが、その再現は難しい。
このため、ヘイズ氏は新規発行者の多くが生き残ることは難しいと見ている。
サークル社の成功に牽引される現在のステーブルコインIPOブームは、投機的取引だとヘイズ氏は強調。これは投資家が損失を避けるため、リスクの高い資産を次々と他者に手渡している状況を指す。
また、ヘイズ氏はサークル社の現在の評価額を過剰だと見ている。
同社が利子収入の半分を利害関係者に渡している点などを挙げ、他の新規発行者も同様の構造的課題を抱えていると指摘。これらのIPOは崩壊に対して脆弱であると警告した。
バブル崩壊の予測と投資戦略
6月17日の米国上院におけるステーブルコイン法案の採決が、市場の強気なセンチメントをさらに増幅させる可能性がある。この規制の動きが、かえってIPO活動と投機を加速させ、バブルを助長する触媒となりかねない。
ヘイズ氏は、サークル社のIPOをバブルの「始まり」と位置づけている。レバレッジや金融工学を駆使した過度に宣伝された発行者が破綻する時、このバブルは崩壊し、投資家から数十億ドル規模の資金が失われると予測する。
このような市場の混乱は、主要資産であるビットコイン(BTC)の価格にも影響を及ぼす可能性がある。投資戦略として、ヘイズ氏は即座の空売りは推奨していない。
仮想通貨への好意的な感情が価格をさらに押し上げる可能性があるためだ。むしろ、これらの株式を投機的資産として扱い、素早く手放す戦略を勧めている。