テザーが独自ウォレット提供、AIエージェント利用も想定

暗号資産(仮想通貨)大手のテザーは14日、独自のセルフカストディアルウォレットの提供を開始した。
AIエージェント利用も想定
新しく発表されたモバイルデジタルウォレットは、一般ユーザーだけでなくAIエージェントの利用も想定して開発された。
対応する仮想通貨は、USDTやビットコイン(BTC)のほか、USATやテザーゴールド(XAUT)が含まれる。
イーサリアム(ETH)やポリゴン(POL)、アービトラム(ARB)、そしてビットコインのライトニングネットワークなど、複数の主要なブロックチェーン上で利用可能だ。
このウォレットの最大の特徴は、使いやすさを徹底的に追求した送金システムにある。「[email protected]」のような直感的に読めるユーザー名を入力するだけで、メッセージを送信する感覚で資産を移動できる。
送金時の手数料を転送する資産から直接支払えるため、別の仮想通貨をあらかじめ用意する手間が省ける。
セキュリティ面では、ユーザーの端末上で直接取引の署名を行う仕組みを採用している。ユーザー自身が秘密鍵を完全に管理するセルフカストディアルの性質を保つ設計だ。
開発には、同社が2025年10月にオープンソースで提供を開始したウォレット開発キット(WDK)が基盤として活用された。
伝統的金融の枠を超えた普及を目指す
テザーの技術を利用するウォレット数は、2026年3月時点で5億7000万を突破している。四半期ごとに数千万規模で新規ユーザーが増加しており、世界160カ国以上で広く利用されている。
今回の直接的な仮想通貨ウォレット提供は、伝統的な金融サービスにアクセスできないエンドユーザーへ、強力なインフラを届ける狙いがある。
テザーのパオロ・アルドイノCEOは、仲介者を介さずにメッセージを送るのと同じくらい簡単に送金できる環境の重要性を強調した。
同社は単なる仮想通貨の発行元から、消費者向けのサービス提供者へと大きな進化を遂げている。安全な自己管理型ウォレットへの需要の高まりが、この事業展開を後押しした形だ。
一方で、ウォレットに搭載されたクラウドへの秘密鍵バックアップ機能を巡っては、セキュリティに関する議論も起きている。
この機能をユーザーが完全に無効化できるかが明確になっていないためだ。同社は今後対応ブロックチェーンを追加し、「人々のウォレット」として分散型金融(DeFi)など幅広い分野での普及を深めていく方針だ。