TikTok、3億ドルのトランプコイン購入疑惑否定|議員の誤認か

TikTokは20日、同社の親会社が3億ドル相当のトランプ氏関連ミームコインを購入したとする米下院議員の主張を強く否定した。
この疑惑は、トランプ大統領がTikTokの米国内事業の売却命令の施行を3度目の90日間延期したことを受けて浮上したもので、政治的な緊張を高めている。
議員の指摘とTikTokの全面否定
米下院のブラッド・シャーマン議員は19日、TikTokの親会社であるByteDanceが3億ドルを費やしてトランプコイン(TRUMP)を購入したと非難した。
同議員は、この取引がアプリの米国内での禁止措置を巡る政策決定に影響を与えるための事実上の賄賂にあたると主張している。
シャーマン氏は、TikTokの中国人所有者らが3億ドル相当のトランプコインを購入すると発表したと投稿。
トランプ氏はコストをかけずにおすすめ仮想通貨を作成するため、これは単に彼のポケットに直接入る3億ドルの賄賂だと主張した。
これに対しTikTokの公式政策アカウントは即座に反応。
下院議員殿、TikTokの所有者がトランプコインを購入しているという主張は、明らかに虚偽で無責任であると強く反論した。
疑惑の背景と企業間の混同
調査の結果、シャーマン議員が指摘した3億ドルという数字は、TikTokとは無関係の企業GD Culture Groupの計画に由来することが明らかになった。
GD Culture GroupはAI生成コンテンツ事業を手がけ、TikTok上でコンテンツを配信しているが、TikTokや親会社との正式な資本関係は確認されていない。
同社は単にTikTokプラットフォームの利用者の一つに過ぎず、別企業である。
現時点で、ByteDanceがミームコインや暗号資産(仮想通貨)を購入したことを示すオンチェーン証拠は見つかっていない。
法的論争と政治的背景
シャーマン議員は、トランプ大統領による度重なる延期が法的に問題があると主張している。
TikTok禁止法は大統領に90日を超えない一度限りの延期しか認めていないため、3度目の延期は違法だとしている。
この一件は、米国の政策決定における外国からの影響力や、トランプ氏によるTikTok関連規制の取り扱いに対する厳しい視線を改めて浮き彫りにした。
TikTokは1億7000万人の米国ユーザーを抱えており、9月17日までに売却先を見つけなければ米国での禁止措置が発動される可能性がある。
シャーマン議員は新しい仮想通貨に対して批判的な立場で知られており、2019年には仮想通貨の全面禁止を提唱したこともある。