米大手銀行JPモルガン、ビットコインETFの担保利用を開始へ

米大手金融機関JPモルガン・チェースは4日、一部の暗号資産(仮想通貨)関連資産をローンの担保として受け入れると発表した。
同行は取引および資産管理顧客向けに、ブラックロックのiSharesビットコイン・トラスト(IBIT)などのビットコイン(BTC)ETF株式の担保利用を開始する。
この政策変更により、顧客の仮想通貨保有額を純資産評価に組み入れ、株式や債券と同等に扱う方針も明らかにした。
ブラックロックのIBITが第一弾
同行は当初、最大の現物ビットコインETFであるブラックロックのIBITに焦点を当てる。IBITは約701億ドルの資産を保有し、全米ビットコインETF市場1281億ドルの半分以上を占める最大規模のファンドとなっている。
JPモルガンは従来のケースバイケースでの評価から、ビットコインETFの標準的な担保受け入れへと移行する。この新政策は主に取引および資産管理顧客を対象とし、世界中の顧客に適用される予定だ。
現物ビットコインETFは2024年1月の米国デビュー以来急速に成長を遂げており、合計で500億ドルを超える資金流入を記録している。
金融機関の仮想通貨受け入れ拡大
JPモルガンの決定は、デジタル資産への機関投資家の関心が高まる中で、仮想通貨関連サービスへの戦略的拡大を示している。同行はこれまでにブロックチェーン技術のテストやJPMコインの開発、複数のビットコインETF株式の保有など、長期的な戦略的関心を示してきた。
ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は長年ビットコインに懐疑的な姿勢を示し、過去には「詐欺」と呼ぶなど強い批判を行っていた。
しかし2024年に入ってからは「顧客がビットコインを購入する権利を擁護する」と述べるなど、姿勢の軟化が見られている。
同氏は仮想通貨を喫煙に例える発言も続けているが、顧客需要とリスクのバランスを取ることを重視する方針に転換している。
機関投資家のデジタル資産採用進む
この政策変更は、仮想通貨を正当な投資手段として認識する金融フレームワークの進化と歩調を合わせている。規制環境の緩和により、機関投資家は準拠した仮想通貨商品へのアクセスをますます求めるようになっている。
ビットコイン価格は2025年5月に史上最高値の111980ドルに達するなど、大幅な上昇を続けている。現在は10万6000ドル前後で推移している。
モルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスなども2023年からビットコインファンドへのアクセスを提供しており、大手金融機関による仮想通貨サービスの導入が相次いでいる。
将来的にはイーサリアム(ETH)のような他の主要な暗号資産も、同様に金融機関のサービス対象となる可能性が高い。JPモルガンの動きは、従来の金融機関による仮想通貨受け入れの新たな段階を示すものとして注目されている。