gumiとSBI、500億円規模の暗号資産ファンドを共同設立

ゲーム大手のgumiと金融大手のSBIホールディングスは11日、共同で500億円規模の私募形式による暗号資産(仮想通貨)投資ファンドを設立した。
このファンドは3年間のクローズドエンド型で、上場しているデジタル資産や分散型金融(DeFi)プロトコルに焦点を当てる。利回り戦略による収益確保とキャピタルゲインの両立を目指す。
今回の提携は、gumiが持つブロックチェーンゲームの専門知識と、SBIが有する金融庁承認のUSDCステーブルコインの枠組みを含む、機関投資家レベルのコンプライアンス基盤を融合させるものだ。
このファンドは、2023年の規制改革以降、国内で設立された仮想通貨に特化した私募ファンドとしては最大規模となる。
背景にある規制と市場の動向
ファンド設立の背景には、日本の規制環境の変化がある。金融庁は2025年3月、USDCを国内で初めて完全に準拠したステーブルコインとして承認した。この動きは、機関投資家が仮想通貨の資産管理や評価フレームワークに対して信頼を寄せる大きな要因となっている。
また、日本の人口動態も影響を与えている。総人口の30%が65歳以上という高齢化社会において、年金基金などは低金利の国債に代わる利回りの高い投資先を求める傾向が強まっている。今回の暗号資産ファンドは、こうした需要に応えるものと見られる。
両社の強みとファンド戦略
この共同ファンドは、両社の強みを最大限に活用する。gumiはNFTマーケットプレイスや「Play-to-Earn」ゲームに関する技術インフラを提供し、一方でSBIはリップル(XRP)の台帳技術を活用した国際送金ソリューションなどで実績を持つ。
ファンドの具体的な資産配分は、流動性の高い仮想通貨に60%、DeFiプロトコルに40%を割り当てる計画だ。前者にはビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、リップルが含まれ、後者ではリクイディティマイニングやステーキングなどを活用する。
さらに、SBIはリップル社への出資を通じて、すでに1兆6000億円(約102億ドル)相当のXRPを保有している。これはファンドにとって潜在的な担保価値となる。
この動きは、2024年12月にGAMグローバル・スペシャル・シチュエーションズ・ファンドからSBIに対して、仮想通貨資産の開示を明確にするよう求める株主からの圧力があったことにも続くものだ。