バイビット、NFTマーケットプレイスを閉鎖へ|市場低迷の影響

暗号資産(仮想通貨)取引所大手のBybit(バイビット)は1日、非代替性トークン(NFT)マーケットプレイスとインスクリプションサービスを終了すると発表した。
同社は、IDO製品も含めこれらのサービスを2025年4月8日に停止する予定だ。バイビットによると、この決定は事業の合理化とユーザー体験向上のための取り組みの一環とのこと。サービス提供の簡素化によって、ユーザー体験の改善を図る狙いがある。
大規模ハッキング事件と市場低迷が影響
バイビットがこの決断を下した背景には複数の要因がある。最も大きな影響を与えたのは、2025年2月下旬に同社が経験した大規模なセキュリティ侵害事件だ。この事件では北朝鮮のハッカーにより約15億ドル(約2235億円)が盗まれ、同社のセキュリティインフラとレギュレーション上の問題に懸念が生じた。
また、NFT市場全体の衰退も重要な要因だ。取引量は劇的に減少しており、2024年と比較して70%も落ち込んでいる。この市場環境の悪化により、これらの事業運営を経済的に維持することが困難になっていた。
広がるNFTサービスの終了
NFT市場は大きな圧力にさらされており、近年では複数の主要プラットフォームがサービスを終了している。クラーケンが2024年にNFTマーケットプレイスを閉鎖したほか、ナイキのRTFKT NFTベンチャーも2023年12月に終了した。
こうした厳しい状況にもかかわらず、「Doodles」や「Pudgy Penguins」などの一部NFTプロジェクトは回復力を示し、引き続き関心を集め成長を維持している。
仮想通貨業界の戦略的シフト
バイビットの今回の戦略的な動きは、暗号資産(仮想通貨)セクター全体の広範な戦略的シフトを反映している。取引所は変化する市場状況と規制環境に適応するため、自社の製品ラインを再評価している。
この傾向は、仮想通貨取引所が中核事業に集中し、収益性の低下した分野から撤退する動きを示している。NFT市場の低迷が続く中、同様の戦略転換は今後も他の取引所で見られる可能性がある。
今回のバイビットの決定は、仮想通貨市場全体が成熟期に入り、各企業が持続可能なビジネスモデルを模索している段階にあることを示している。
利益率の低い周辺事業の整理と本業への集中は、今後の業界トレンドになるかもしれない。多くの取引所は今後、ビットコイン(BTC)などの主要仮想通貨の取引サービスに経営資源を集中させるだろう。
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