アルアブラージ、企業財務にビットコイン導入|中東初の事例

バーレーン証券取引所に上場する外食大手のアルアブラージ・レストランツ・グループは15日、中東初となるビットコイン(BTC)を戦略的な企業財務資産を導入した。
同社の時価総額は約24.2百万ドルだ。 ビットコインの購入規模は非公開だが、「財務資産の重要な部分」を仮想通貨へ移す方針を示している。
この動きは、マイクロストラテジーやテスラなど西側企業の事例を踏襲したもので、中東・湾岸諸国における公開企業での初の事例となった。
地域金融戦略の新潮流と規制環境の背景
アルアブラージによるビットコイン導入の背景には、世界的なインフレや自国通貨の変動リスクを回避する手段として暗号資産(仮想通貨)への機関投資家の関心が高まっていることがある。
特に地政学的およびマクロ経済の不確実性が増す中、ビットコインは「デジタルゴールド」とも呼ばれ、資産防衛のツールとして注目されてきた。
加えて、アラブ首長国連邦やサウジアラビア、カタールなどが加盟する湾岸協力会議(GCC)諸国では、ブロックチェーンや仮想通貨に関する規制整備が進んでおり、企業の参入障壁が徐々に低くなっていることも導入を後押ししている。
シャリア適格の枠組みと市場波及効果
アルアブラージは、米ニューヨークの10Xキャピタルと提携し、イスラム法(シャリア)に準拠したビットコイン投資の枠組みを構築する計画を公表した。 この新たなスキームにより、バーレーンだけでなくサウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェート、カタール、オマーンなど湾岸地域の投資家も、上場株式を通じて間接的にビットコインへアクセスできるようになる可能性がある。
また同社は「ビットコイン保有株式当たり数(Bitcoin per share)」という新たな業績指標(KPI)を導入した。 これにより、株主価値の向上と財務戦略の一体化を図るとしている。 分散型金融(DeFi)の活用も今後の戦略として注目を集めている。
分散型金融(DeFi)は、湾岸地域の金融イノベーションを後押しする存在として広まりつつある。 この決定は、湾岸協力会議および中東全域の金融実務において、分散型デジタル資産の本格的な組み入れに向けた重要な一歩となる。
今後も同様の動きが地域の他企業や金融機関に波及する可能性があり、新たな財務戦略や規制対応のあり方が注目される。
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