仮想通貨詐欺で兄弟を告発|SEC、87億円規模の不正を摘発
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私たちは、読者の皆様に対し、完全な透明性を提供することを重要視しています。当サイトの一部のコンテンツにはアフィリエイトリンクが含まれており、これらのリンクを通じて発生した取引に基づき、当社が手数料を受け取る場合がございます。米証券取引委員会(SEC)は26日、6000万ドル(約870億円)規模の暗号資産(仮想通貨)詐欺に関与したとして兄弟を告発した。
架空のAI取引ボットを利用した巧妙なポンジスキームで、80人以上の投資家から資金を集めていたという。
ポンジスキームとは、新規投資家から集めた資金を古い投資家への配当に回す詐欺的な投資スキームのことだ。持続不可能な高利回りを約束し、次々と新規投資家を勧誘することで成り立つ。
架空AI取引ボットで月利13.5%を約束
SECの訴状によると、ジョナサン・アダムとタナー・アダムの兄弟は2023年1月から2024年6月にかけて、存在しない仮想通貨取引ボットを宣伝し、投資家を勧誘していた。
このボットは月利13.5%という驚異的な収益率を実現できると謳っていたという。
兄弟は投資家に対し、このAIボットが複数の仮想通貨取引所間の価格差を利用した裁定取引を行うと説明。
投資資金をプールして、1回の取引で借入と返済を行う超短期融資であるフラッシュローンを実行し、同一ブロックチェーン取引内で利益を得られると主張していた。
SECが緊急資産凍結で被害拡大を防止
しかし、SECアトランタ地域事務所のジャスティン・ジェフリーズ副所長は、「取引スキーム全体が詐欺だった」と断言。兄弟は集めた6150万ドル(約891億円)のうち、5390万ドル(約781億円)を着服したという。
ジェフリーズ副所長は「アダム兄弟は存在しない仮想通貨投資で高利回りを約束し、投資家の資金をポンジスキーム的な支払いや高級品の購入、3000万ドル(約435億円)のマンション建設に使っていた」と説明している。
SECは被害拡大を防ぐため、兄弟が所有するGCZ Global社とTriten Financial Group社の資産を緊急凍結。さらに、ジョナサン・アダムが過去に3度の証券詐欺で有罪判決を受けていた事実を投資家に隠していたことも問題視している。
相次ぐ仮想通貨詐欺の摘発
仮想通貨を悪用した詐欺事件は後を絶たない。19日にはモンテネグロ当局が、約2100万ドル(約304億円)の詐欺容疑で指名手配中だったFutureNetの共同創設者、ロマン・ジーミアンを逮捕。韓国とポーランドの両当局から詐欺や資金洗浄の容疑で追われていた。
SECは今回の事件で、兄弟とその会社に対する恒久的差し止め命令、不正利得の返還、民事制裁金を求めている。
投資家は仮想通貨関連の投資案件に対し、より一層の警戒が必要だろう。同時に、規制当局による監視強化と、業界全体での自浄努力が求められている。