イーサリアム、バーンレート急落で年間最低に

イーサリアム(ETH)のバーンレート(焼却率)は10日、年間最低率を記録した。この日のETH焼却量はわずか210ETH(約3094万円)にとどまり、ネットワークの活動が大幅に低下していることを示している。
バーンレートの低下は、取引の基本手数料が1〜2gwei(イーサリアムの最小単位)の間で変動していることが主な要因だ。これは8月5日に記録された約100グウェイという高水準と比較すると、著しい減少と言える。
この状況を受け、ETHのインフレ率が上昇。同日には2000ETH(約2億9468万円)以上のネット発行量が記録された。暗号資産(仮想通貨)プラットフォームGnosisのマーティン・ケッペルマン創設者は、このインフレ傾向に対抗するため、一時的にガス制限(1ブロックあたりの処理可能なガス量の上限)を引き上げることを提案している。
イーサリアム活動低下の背景と今後の展望
イーサリアム(ETH)ネットワークの活動低下は、主にレイヤー2ソリューションの普及とDencunアップグレードによるものだ。これらの進展でレイヤー2の利用が増え、メインネットワークでの取引が減少している。
その結果、ガス代(取引手数料)が下がり、ETHの焼却量も減少。これにより、ネットワークの収益性低下とインフレリスクの上昇という課題が生じている。
しかし、市場のイーサリアムへの期待は依然として高い。ETH価格は年初来10%上昇し、時価総額も3050億ドル(約44兆9387億円)に達している。
イーサリアムは成長に伴う変革期にあるが、技術進化と市場の信頼により、長期的な展望は明るいと言えるだろう。
NYSEがイーサリアムETFオプション上場を申請
イーサリアムの今後の展望を明るくする動きがある。ニューヨーク証券取引所(NYSE)アメリカンは、グレースケールとビットワイズが運用する3つのイーサリアム上場投資信託(ETF)のオプション上場および取引に関する規則変更を米国証券取引委員会(SEC)に申請した。
対象となるのは、以下の3銘柄だ。
- Bitwise Ethereum ETF(ETHW)
- Grayscale Ethereum Trust(ETHE)
- Grayscale Ethereum Mini(ETH)
NYSEアメリカンは、これらのイーサリアムETFのオプション取引導入により、投資家がより費用対効果の高い方法でイーサリアムへのエクスポージャーを得られると主張している。オプション取引は、投資家がリスクを管理しつつ、潜在的な利益を得る機会を提供する。
SECは今後21日間、この提案に対するコメントを受け付ける予定だ。承認されれば、NYSEアメリカン取引所に上場している唯一の現物イーサリアムファンドであるグレースケールとビットワイズのイーサリアムETFに特化した規則変更となる。
イーサリアムの今後は、このようなETFオプションの導入により、機関投資家のさらなる参入が期待される。また、ヘッジファンドや金融プランナーにとっては、市場のボラティリティ(価格変動)に関連するリスクを軽減する重要なツールとなる可能性がある。
個人投資家への影響と対策
イーサリアムネットワークの活動は現在低下傾向にあるものの、ETFオプションの導入など新たな展開により、その将来性に対する期待は高まっている。個人投資家にとっては、以下の点に注意が必要だ。
- 長期的視点の維持:短期的な価格変動に一喜一憂せず、イーサリアムの技術的進化と採用拡大に注目する。
- 分散投資の重要性:イーサリアムだけでなく、他の資産クラスとのバランスを取る。
- 継続的な学習:イーサリアムの技術やエコシステムについて理解を深め、情報に基づいた投資判断を行う。
- レイヤー2ソリューションへの注目:メインネットワークの活動低下が、レイヤー2の発展につながっている点を理解する。
仮想通貨市場の動向に注目する投資家にとって、イーサリアムの今後の動きは引き続き重要な観察ポイントとなるだろう。技術の進化と制度面の整備が進む中、慎重かつ積極的なアプローチが求められる。