米金融大手がテザーに出資|仮想通貨業界への本格参入を示唆

米金融大手のカントール・フィッツジェラルドは24日、世界最大のステーブルコイン発行企業テザー(USDT)の株式5%を取得したことが明らかになった。取引額は最大6億ドル規模とされる。
米金融大手による仮想通貨業界への本格参入
カントール・フィッツジェラルドは過去1年以内にテザーへの出資を実施した。同社のハワード・ルトニックCEOは次期米国商務長官への就任が内定しており、政治的影響力を活用した規制対応の強化が期待される。
テザーの筆頭株主ジャンカルロ・デバシーニ氏は、ルトニックCEOが同社の直面する規制上の課題に対処できると確信を示している。ルトニックCEOは現在、トランプ次期大統領の移行チーム顧問として、テザーの監督に直接影響を与える可能性のある政府要職の人選にも関わっている。
テザーを取り巻く規制環境の変化
テザーは米国南部地区連邦検察局から、同社発行のステーブルコインUSDTがテロ資金供与などの不正活動に使用された疑いで調査を受けている。
多くの金融機関がテザーとの取引を控える中、カントール・フィッツジェラルドは主要な取引パートナーとして、1340億ドルに上るテザーの準備金の大部分を米国債で保有している。
ルトニックCEOは、アルゼンチンやトルコ、ベネズエラなどインフレに直面する国々におけるドル連動型ステーブルコインの有用性を強調している。
また同社は2024年ビットコインカンファレンスで、20億ドル規模のビットコイン貸付プログラムの開始を発表し、仮想通貨市場への積極的な関与を示している。
ステーブルコイン規制の動向
1400億ドル規模に成長したステーブルコイン市場だが、米国では依然として規制の枠組みが整備されていない。
最近では、暗号資産(仮想通貨)推進派のラミス上院議員とジリブランド上院議員が新たな規制法案を提出し、発行企業に対する準備金要件や運営要件の整備を目指している。
英国も数カ月以内にステーブルコイン規制を導入する見通しで、シンガポールではすでに正式な法整備が完了している。世界的に規制の枠組み作りが進む中、テザーの企業価値向上に向けた取り組みが注目される。