古いBTCアドレス凍結へ、新たな量子コンピューター対策に波紋

ビットコイン(BTC)の開発者らは15日、量子コンピューターの脅威からネットワークを保護するため、古いアドレスの資金を凍結する新たな改善提案「BIP-361」を公開した。
この提案は、暗号資産(仮想通貨)企業Casaのジェームソン・ロップ最高技術責任者(CTO)らによって執筆されている。
量子コンピューターの脅威とBIP-361の概要
BIP-361は、将来的な量子コンピューターによるハッキングのリスクに対処することを目的としている。現在、この提案は開発者コミュニティで活発に議論されている。
BIP-361が主な対象としているのは、ビットコインの初期に作成された古い形式のアドレスだ。
これらのアドレスは公開鍵がすでに露出しており、高度な計算能力を持つ量子コンピューターの標的になりやすい。
対象となるアドレスには、全体の供給量の約34%にあたる約170万から670万BTCが保管されている。
この中には、ビットコインの生みの親であるサトシ・ナカモトが保有するとされる約110万BTCも含まれる可能性がある。その価値は約740億ドルに上ると推定されている。
もし悪意のある攻撃者がこれらの資金を奪えば、市場価格の暴落など深刻なシステムリスクを引き起こす恐れがある。
このようなリスクは、イーサリアム(ETH)などの他の主要なブロックチェーンでも同様に懸念されている。
3段階の移行計画とコミュニティの反応
BIP-361では、量子耐性を持つ新しいアドレスへの移行を促すため、3つの段階を踏む計画が示されている。
まず第1段階として、ルールの適用から3年後に古いアドレスへの新たな送金を禁止する。続く第2段階では、5年後に古い署名方式を無効化し、移行されていない資金を事実上凍結する。
そして第3段階では、有効な復元フレーズを持つ正当な所有者が、最新の暗号技術を用いて資金を回復できる仕組みを模索する。
専門家の予測によると、2027年から2030年頃には現在の暗号技術を破る可能性のある量子コンピューターが登場するとされている。
そのため、開発者らは早期の対策が必要だと主張している。
また、AIの進化が暗号解読の速度をさらに早める可能性も指摘されている。
しかし、この提案に対しては仮想通貨コミュニティから強い反発の声も上がっている。
SNS上では、資金の凍結はビットコインの最大の特徴である「不変性」を損なうものだという批判が相次いだ。現在はまだ草案の段階であり、実際に導入されるかどうかは今後の議論の行方にかかっている。