BIS、暗号資産とDeFiが「臨界点」到達|金融安定リスクを警告

国際決済銀行(BIS)は19日、暗号資産(仮想通貨)と分散型金融(DeFi)が「臨界点」に達し、金融安定性に潜在的なリスクをもたらすとの報告書を発表した。
「中央銀行の中央銀行」として知られるBISは、仮想通貨と伝統的金融システム(TradFi)の著しい融合が世界の金融安定を脅かす可能性があると警告している。
仮想通貨と伝統的金融の融合深化
歴史的に、仮想通貨市場は伝統的金融からほぼ隔離されて運営されてきた。
しかし、2024年1月に米国規制当局がビットコイン(BTC)現物ETFを承認したことや、現実資産(RWA)のトークン化の台頭といった近年の動向が、DeFiと伝統的金融の統合を深めている。
この進展により、機関投資家や資産運用会社は使い慣れた投資チャネルを通じたエクスポージャーを増やし、両システムの境界線が曖昧となっている。
BISの報告書によると、新しい仮想通貨市場は伝統的な市場と比較してまだ規模が小さいものの、その成長と相互接続性の高まりが、金融ショックの新たな伝播経路を生み出し、システム的な脆弱性を増幅させる可能性がある。
「臨界点」という表現は、仮想通貨の影響力が金融システムの力学に実質的な影響を与えるほど大きくなったことを示唆するものだ。
金融安定へのリスクと富の不平等
BISが強調する主要な懸念の一つは、仮想通貨とDeFiが富の不平等を悪化させる可能性である。
報告書で示されたデータによると、市場の下落局面では、小口の個人投資家が仮想通貨の保有を増やす傾向がある一方、富裕層の投資家はポジションを解消する。
これは結果的に、貧しい層から富裕層への富の純移転をもたらすものだ。
この観察は、ECBのウルリッヒ・バインドザイル氏のような当局者による以前の指摘と一致する。同氏はビットコインの構造が、後の市場参入者よりも初期の裕福な採用者を不釣り合いに優遇すると指摘していた。
規制強化の必要性
これらの新たなリスクを軽減するため、BISはDeFiに対して伝統的金融と同様の規制枠組みを強く推奨している。
これには、顧客確認(KYC)ルールの施行、情報開示による透明性の向上、市場参加者の適切な研修と資格認定の確保が含まれる。
このような措置の導入は、不正行為のリスクを低減し、市場の健全性を高め、投資家保護を強化することを目的としている。
BISによる規制整合性の呼びかけは、ハイブリッド金融エコシステムの複雑さとリスクを管理するために、仮想通貨規制を既存の金融監督と統合しようとする世界的な広範な傾向を反映している。
報告書は、DeFiの革新を活用しつつ、金融の安定性を損なったり、社会経済的な不平等を拡大したりしないためには、積極的な監視と思慮深い規制が不可欠であることを強調している。
要約すると、BISの報告書は、暗号資産(仮想通貨)とDeFiがニッチな市場を超えて成長したことを認識する上で重要な節目となる。
その急速な成長と伝統的金融との接続性の増加は、システミックリスクを防ぎ、富の格差を縮小するために、慎重な監視と規制の枠組みを必要としている。
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