Bybit、16の主要ブロックチェーンに凍結コードを発見

暗号資産(仮想通貨)取引所Bybitは12日、同社のLazarus Security Labがブロックチェーンの資金凍結機能に関する包括的なレポートを公開した。
資金凍結の3つのメカニズムと実例
「Blockchain Freezing Exposed」と題されたこのレポートは、ブロックチェーンネットワークにおける資金凍結能力を大規模に分析した初の調査である。
同ラボは人工知能分析と手動レビューを組み合わせ、166のブロックチェーンネットワークを精査した。
その結果、16の主要ブロックチェーンにユーザー資金を凍結または制限できるコードが組み込まれていることが判明した。
また、19のブロックチェーンがわずかなプロトコル変更で同様の機能を実装できる可能性があるという。
レポートは資金凍結の仕組みを3つのタイプに分類している。
1つ目はBNB ChainやVeChainのようにコードに直接組み込まれた「ハードコード型」。
2つ目はSuiやAptosのようにバリデーター設定で制御される「設定ベース型」。
3つ目はHECOのようにシステムコントラクト経由で実行される「オンチェーン契約型」だ。
これらの機能は実際に緊急対応に活用された事例もある。
BNB Chainは2022年10月、約5億7000万ドルのブリッジ攻撃を受け、ハードコードされたブラックリストで資産を凍結した。
また、Suiは2025年5月のCestusハッキング事件後に約1億6200万ドルを凍結。その後Aptosも同様のブラックリスト機能を追加している。
これらの事例は、凍結機能がユーザー保護の手段として一定の効果を持つことを示している。
分散化の理念とセキュリティ確保のジレンマ
一方で、中央的な介入権限を持つ仕組みは、仮想通貨の根幹である「分散化」の理念と矛盾する可能性をはらむ。
Bybitのグループリスク管理・セキュリティ責任者David Zong氏は以下のように述べる。
「ブロックチェーンは分散化を前提に構築されたが、現実には迅速な対応を目的とした安全メカニズムが実装されている」
資金凍結はハッキング被害の軽減に有効な一方、特定の主体が取引を停止できるというリスクも孕む。
業界全体が、分散化の理想と現実的なセキュリティ対応の両立という難題に直面している。
業界に求められる透明性と今後の展望
Bybitは、ブロックチェーンガバナンスにおける透明性の確保が不可欠だと強調した。
特に、各プロジェクトが緊急時の介入メカニズムの有無と実行条件を公開すべきだと提言している。
このような透明性がユーザーの信頼構築とエコシステムの安全性向上に直結すると同社は主張する。
今回のレポートは、これまで断片的にしか知られていなかった凍結機能を体系的に整理した点で業界にとって重要な意義を持つ。
Lazarus Security Labは、今後もオープンな対話を促し、より健全なガバナンス設計を推進するとしている。
分散化の原則を維持しながら責任あるセキュリティ対策を実装することが、今後の仮想通貨業界の重要課題となるだろう。