米下院、10ドル未満の手数料を課税外にする暗号資産法案可決

税制を所管する米下院歳入委員会は16日、暗号資産(仮想通貨)の課税ルールを定める法案を賛成38、反対5で可決した。
10ドル未満の手数料の支払いでは損益を認識しない扱いとする一方、株式と同じウォッシュセール・ルールを暗号資産にも適用する。同委員会のジェイソン・スミス委員長は、暗号資産の実質的な課税の扱いを定める初の連邦法になると述べた。
10ドル未満の手数料は損益を認識せず、ステーブルコインも対象外
同委員会の発表によると、可決したのは「デジタル資産税確実性法」(H.R.10357)で、共和・民主両党の委員が1年以上協議してきた。現行法では少額でも取引ごとに報告が要り、2025年に内国歳入庁(IRS)が受け取った1099-DAフォームは数億件にのぼり、多くは10ドル未満の取引だったという。
法案はまず、暗号資産を決済に使う際の負担を減らす。仮想通貨のガス代などのネットワーク手数料や取引手数料を10ドル未満の暗号資産で支払った場合、その支払いに伴う損益を認識しない。規制の下にある米ドル建てステーブルコインの売却損益も対象から外し、簡素な会計方法も選べるようにする。
株式など伝統的な金融資産との扱いもそろえる。暗号資産を貸し出しても課税されない既存のセーフハーバーを適用し、ディーラーとトレーダーには時価評価会計を認める。
ウォッシュセールは9月14日より後の売却に適用
株式に適用されてきた乱用防止ルールも、暗号資産に広げる。値下がりした資産を売って損失を確定させ、買い戻す取引の損失計上を制限するウォッシュセール・ルールや、みなし売却のルールが対象となる。同委員会はこれらを、暗号資産に残っていた仮想通貨税金の抜け道を塞ぐ措置と位置づけた。
米議会の合同税制委員会(JCT)の説明資料によると、委員長が出した修正案はウォッシュセールの適用を「2026年9月14日より後」の売却とした。JCTの9月14日付の試算では、同ルールの適用で2027〜2036会計年度に17億700万ドルの税収増を見込み、法案全体では5億ドルの税収増となる。
マイニングとステーキングで得た報酬についても、所得の源泉と性質を定める規定を置く。過去の申告漏れを軽い罰則で是正できる自主開示制度も、財務省に設けさせる。
スミス委員長は、米国で暗号資産を保有する人は4人に1人、6700万人を超えると述べた。成立には、下院本会議と上院での可決が必要となる。