USDC発行元のCircle株に警鐘、JPモルガンは60%下落を予測

米金融大手JPモルガンは30日、ステーブルコインを発行するCircle社の株式に対し、投資判断をアンダーウェイトで開始した。
目標株価は80ドルと設定され、これは現在の株価から約60%の下落を意味する。
同社株の過大評価と市場競争の激化が主な理由だ。
IPO後の急騰と過大評価への警鐘
Circle社の株式CRCLは2025年初頭のIPO以来、目覚ましい上昇を見せていた。
IPO価格31ドルから一時は299ドル近くまで急騰し、上昇率は約490%に達した。
現在の株価は約180ドル台で推移しているものの、依然として高い水準を維持している。
しかし、JPモルガンのアナリストは、この株価水準が持続不可能であるとの見方を示した。
同社の株価収益率は829倍にも達しており、これは企業の基礎的価値よりも投資家の熱狂が先行している状態だと分析する。
ステーブルコインへの期待感が株価を押し上げているが、そのプレミアムは過大だと指摘されている。
競争激化と収益構造の脆弱性
Circleが発行するUSDコイン(USDC)は、時価総額620億ドルを誇る主要なステーブルコインだ。
デジタルキャッシュや国際送金における先行者利益を享受し、暗号資産(仮想通貨)市場で支配的な地位を築いている。
この相互運用性の高さは、DeFiなどでの活用も進んでおり、競合他社が容易に模倣できるものではない。
一方で、JPモルガンは今後の競争環境の厳しさを懸念する。
大手銀行や消費者向け企業がステーブルコイン市場へ参入する可能性が高まっており、既存のインフラを活用する新規参入者はCircleの優位性を脅かす存在になり得る。
また、Circleの収益の95%以上は、準備金を米国債などで運用して得られる金利収入に依存している。
将来的な金利の低下は、同社の収益性を直接圧迫するリスクをはらむ。
ステーブルコインに関する法整備の進展も、市場の力学を大きく変える。
規制の枠組みが整備されれば、既存の金融機関が有利になる。
Circleは国際送金や新興国市場への展開に成長の活路を見いだしているが、複数のリスク要因が今後の見通しに影を落としている。
こうした動向は、単一の企業だけでなく、広範な仮想通貨市場全体の将来にも影響を与える重要な要素となる。