インド与党、ビットコイン国家準備金の試験導入を提唱

インド与党のプラディープ・バンダリ報道官は26日、ビットコイン(BTC)準備金の試験的導入を提唱した。
同氏は米国やブータンの事例を挙げ、インドが国家的な暗号資産(仮想通貨)戦略を策定する好機だと主張している。
この提案は、地政学的・経済的変化の中でビットコインの戦略的価値が認識されつつあることを反映している。
米国とブータンの先行事例
バンダリ氏が注目するのは、他国のビットコイン準備金設立による成功事例だ。
米国ではトランプ政権下の1月、押収した20万BTC以上を活用し、戦略的ビットコイン準備金が創設された。
この準備金はインフレヘッジと位置づけられ、6月までにその価値は200億ドルを超えている。
また、ヒマラヤの小国ブータンは2021年以降、豊富な水力発電を利用したビットコインのマイニングを進めてきた。
これにより10億ドル以上の準備金を蓄積し、公共サービスや持続可能な開発の資金源としている。
バンダリ氏は、インドが持つ太陽光や風力などの再生可能エネルギーのインフラを活用すれば、ブータンの成功を再現できるとみている。
これにより、価値の保存手段としての仮想通貨への世界的な潮流に対応できると強調した。
世界的な動向とインドの課題
米国やブータンだけでなく、ロシアや中国、ブラジルなども国際的な合意を待たずに独自のビットコイン戦略を進めている。
インドは2023年のG20議長国としてデジタル資産に関する国際協調を主導したが、バンダリ氏は積極的な国家政策の必要性を訴える。
一方で、インド国内には大きな課題が存在する。
現行法では、仮想通貨の利益に対して30%の税金が課される。
さらに、115ドルを超える取引には1%の源泉徴収が義務付けられているが、包括的な規制の枠組みは未整備のままだ。
所得税法第115BBH条では、仮想通貨の取得費用しか控除できず、その他の経費や損失の繰り越しは認められていない。
バンダリ氏はこのような規制の曖昧さを解消することが、国家的なBTC戦略を成功させるための前提条件だと指摘した。
提案の実現可能性は、今後の規制改革と政府機関の足並みが揃うかにかかっている。