金融インフラ大手DTCC、ステーブルコイン開発を検討か

金融市場のインフラを担うDTCCは12日、米ドルに連動するステーブルコインの開発に取り組んでいると報じられた。
年間で数千兆ドル規模の証券取引を処理するDTCCは、取引効率の向上を目指し、米ドルを裏付けとするステーブルコインの導入を模索している。
市場の需要と規制という課題
この動きは、同社が2025年4月に立ち上げたトークン化された担保を管理するプラットフォームAppChainに続くものだ。
一連の取り組みは、DTCCのデジタル資産部門グローバル責任者であるナディーン・チャカール氏が監督している。
DTCCは最近のブログ投稿で、企業間の国際的な資金管理や決済システムにおいて、ステーブルコインの有用性が高まっていると指摘した。
ブロックチェーン技術の統合に対する同社の幅広い関心を示すものといえる。
DTCCは、決済インフラを近代化する上でステーブルコインが極めて重要だと認識している。特に、個人間の国際送金や証券決済の分野での活用が期待される。
しかし、このプロジェクトを前進させるには、米国の議員によるデジタル資産の監督に関する法的な明確化が前提条件となる。規制の壁が、計画の実現に向けた大きな課題だ。
現在進行中のブロックチェーン基盤ソリューションに関する試験的なプログラムも、DTCCの最終的な意思決定に影響を与える。
伝統金融とデジタル資産の架け橋へ
DTCCはステーブルコイン開発計画を公式に認めていない。
しかし、この動きは金融機関によるブロックチェーン技術採用という、より大きな流れと一致する。
この構想が実現すれば、DTCCの広範なインフラを活用し、伝統的な金融市場とデジタル資産のエコシステムを繋ぐ架け橋となる。
決済の合理化に大きく貢献することが期待されるが、プロジェクトの具体的な時期や規模は、規制の動向と試験運用の結果に左右される。
このような動きは、伝統的な金融機関が暗号資産(仮想通貨)の技術をいかに取り入れようとしているかを示す好例といえる。
将来的には、DeFiの領域にも影響を与える。